FILE:64 竜
FILE:64 竜
ゴゴゴゴゴ・・・。
極東始め北部軍の飛行船が唸りを上げて海戦への最接近を試みる。
しかし、その時雪を降らせていた雲の合間から一つの動く物体。
「上空より輝点!」
丁度甲板にいた西は驚いた。
「り・・・竜・・・ッ!?」
それは先刻氷の船団を襲った竜。その大きな口からは炎が吐かれている。
シュシュシュシュ・・・。
竜を確認したのは決して極東だけでは無く、他の飛行船も確認したらしい。
早々と魔法で作動するボウガンが宙を舞っている。
だったのだが、竜にはそんなことは関係無いと言わんばかりにボウガンの攻撃をかわし続ける。
近づいてくる竜。極東は接近を一旦諦める。
しかし、他の飛行船はそのままつっこみ続ける。
遂に接触と言える距離に入り、竜の姿が飛行船の影に隠れる。
ボッ!ドーーーーーンッ!!
炎が暴発、直後に炎上して飛行船は無残にも海に落下していく。しかし、海は氷一面。
燃えながらバラバラとなる飛行船。
「10式主砲ッ!0°のまま、撃ち方始めッ!」
ドーーーンッ!!
《そこの人間・・・。》
10式戦車の砲撃をかわした竜が不意に極東の前で止まる。
「・・・。何だ?」
西は怯まず、その目線をしっかりと竜へと送り続けている。
《・・・お前たちは誰だ?この世界の人間に見えないな。》
「違う・・・と言ったら?」
普通、このような返しはブラフとも言える。しかし、竜は笑った。
《違う・・・?噂では聞いているぞ・・・?その力・・・。》
瞬間的に竜が姿を消す。
「空対空戦闘用意良し!右120°旋回ッ!」
西が管制室に戻るなり無線越しに叫ぶ様に言う。ライズが操縦桿を大きく回転させる。
ゴォォォォォォ・・・。
右に120°大きく旋回する極東。
「今井。高射運用は任せたからな・・・。」
西が必死にレーダーに目をやっている今井に伝える。今井は「はっ」と答え、ヘッドマイクに声をかける。
「SIM-4の照射レーザーを目標にセット。」
照射レーザーが極東に設置された専用車から放出させる。それはしっかりと竜を捉える。
【こちら、F-15DJ。】
【こちら、極東。】
【な、何ですかあいつッ!】
【見つかっていないのか・・・?】
【はい。】
パイロットが半ば確信的にそう答える。
【よし、SIM-4をかわすのを確認したら攻撃してくれ。】
【了解!】
イーグルとの無線が遮断させる。
「SIM-4展開・・・!」
発射装置がその身を立てる。
「SIM-4発射ッ!!」
ミサイルハッチからミサイルが顔を出し、そしてそのまま天に向かって発射される。
《ほぅ・・・面白い。》
そんな楽しみ声が聞こえた直後、竜は大きくその身を上昇させる。
□■
イーストテンプル王国 テンプル城。同時刻。
「この辺で雪ですか。珍しい。」
大和タケルがテンプル城の客室で窓から見える景色を見ていた。
何を思ったか城から出ると近くの森へとたちまち姿を眩ます。
イーストテンプル王国 近郊の森。
「・・・始まっていたか・・・。」
大和は海の彼方で時々見え隠れする赤い炎を確認していた。それは上空でも全く同じ様子。
大和は突然ポッケから魔法紙の貼ってあるメガネを取り出す。
すると、大和の目の前は双眼鏡と同じ様な景色。
そこに写っていたのは空を舞う竜。そして、魔法の物とは言えないものが搭載された飛行船。
「まさか、竜を引っ張ってくるとは・・・。」
「大和さん。」
海岸線から海を眺めていた男に話しかける女の声。
「あぁ。メイドさんですか・・・。どうされました?」
「大陸船団の手配が完了しました。」
大和はその報告を聞くとメガネをしまい、メイドの後に続く。
飛行船団 飛行場。
「行き先は?」
「Eエリアです。」
Eエリアとはヨーロッパ諸国を指している。
「こう言っては何ですけど、造船程度しか取り柄の無い古臭い街しか無いでしょう。」
Eエリア大陸は元々広いものの資源発掘の場として有名で王国というより村や里の方が多い。
唯一ある王国は造船で有名な港町、シャルロット王国。
「造船に興味がある。あの完璧な設計を一度拝見したい。」
「・・・興味・・・それだけが貴方の原動力では無い筈だ・・・。」
「思うのならばそれで構いませんよ。」
翌日 大和はEエリアのシャルロット王国へ向けて出発していった・・・。




