FILE:63 苛烈する戦争
FILE:63 苛烈な戦争
太平洋 上空。
SAM-4が閃光の物体と衝突した。
「イーグルがまた一機撃墜させました!」
栄はグッと握し拳を握った。
「残り2機・・・!」
レーダーの輝光は二つ。今井はさらに判断を下す。
「10式主砲、0度維持のまま発射ッ!!」
ドッ!ドドーーンッ!!
水平に横を通り抜けようとした飛行船に被弾する。
しかし、落ちる寸前―。
飛行船はツルを伸ばし、極東に絡める。
そして、そのツルに捕まり兵士が10人程度極東に乗り込む。
「マズイ!10式戦車部隊!任せる。」
戦車部隊の青梅三等陸曹が10式戦車から降り、小銃を放つ。
初めての攻撃に怯む兵士。
しかし、敵もそれに怯むだけでは無い。
剣が空を舞う。
ダンッ!ダダダンッ!!
しかし、背後から柳一等陸曹が同じように小銃を放った。
「柳一等陸曹!スミマセン!」
「謝ってる暇は無い!最後の一機だけ処理をするぞ!」
二人は10式戦車に乗り込む。
「60°上方、確認出来るか?」
「・・・確認完了!いつでも行けます。」
柳は目を閉じ息を整え―・・・。
「撃ぇッ!!」
ドーーーーンッ!!
空を舞う一発の大砲・・・。それはしっかりと孤立した飛行船を目指していた。
早乙女空母 管制室
「やったぞ!全滅だ!」
ひとりの空軍兵士がそう喜ぶ。飯島は言葉で表しはしなかったが、確かにその成果に喜んでいた。
【こちら、極東。】
【こちら、空母。】
【これより、海戦に最接近する・・・。】
極東 管制室。
「右30°旋回。そのまま直進してくれ。」
「はっ。」
ライズが決心した面持ちで操縦桿を取った。
そして、見えてきたのは高度300からの光景。
西は思わず甲板に足を運んだ。
甲板には柳や青梅の姿もあり、二人の顔もまた驚いた顔。
「空気が凍えてる・・・。」
西は空気が凍てついており、悍ましい感覚がはっきりと感じ取れた。
双眼鏡を除く。
太平洋上。
「固まったぞ!溶かせ!」
氷の女王の魔法により広い太平洋の海が凍っていた。それを確認した海の里の船団は火を扱う魔法使いに太平洋を沸騰させるように言う。
コポコポ・・・。
ボコボコボコボコ・・・・。
氷が溶け出し、停められていた船が動き出す。氷の船はもう目前。
「所詮、炎の前では無駄だ・・・。」
黒火液こと石油が海に撒かれる。そして、放たれた火は一気に氷の船を纏う。
ゴォォォォォォ・・・。
「と、飛び込めッ!!」
そんな声が燃え尽きる船から聞こえる。
しかし、氷の船団も負けてばっかりでは無い。そんなやり取りの間に回りには数隻の氷の船。
ドッガーーーンッ!
一瞬だったのだが空を舞うそれが氷の船を沈める。
「り、竜・・・ッ!?」
そう、それは土地を統べる妖精を統べる存在。その存在ですら確認されていない存在。
「古龍では無いようだ・・・。負けてられない・・・。」
そう呟いた男が手に氷柱を作る。それを合図に他数十名も同様の行動。
ボンッボボボボンッ!!
氷柱が放たれ、一部は一隻の海の里の船。もう一部は竜目掛けて飛ぶ。
竜はそれを難なくかわしその姿を遥か上空に隠す。しかし、一方の船は目の前まで迫った後の行動により避けきることが出来ない。
甲板にいた海の里の兵士たちは身にそれが刺さると同時にその身を甲板に転ばせる。
「動きを止めろッ!」
沸騰を始めに動き出した海の里の船が動きを停める。
「ふ、・・・・!?」
パリ・・・ガッ!
ゴゴゴゴ・・・・ドンッ!ドスン・・・ドスン・・・。
やがて海に張られた氷がその姿を変化させ氷の巨人が生まれる。
ドッドッドッ・・・ドンッ!!
氷の巨人の跳躍。
直後に、その巨体が海の里の船に飛び乗る。そして、真ん中からその姿を変形させる。
「と、飛び降りろ!」
皆が一斉に氷の地に足を下ろす。中には骨折し動けない者や突然の行動が原因で頭を直撃し帰らぬ者になった者もいた。
逃げられた者もその遠すぎる陸に絶望している。
その者からその身を拘束され氷の船へと移乗させられていた・・・。
極東 甲板。
「・・・。」
西は絶句をさせられていた。それほどそれは過激と化していたのだ。
そして、空中戦艦「極東」はその身を最も危険な海戦のど真ん中へと駒を進めていた。




