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ワンダーリアル  作者: 淡水
第八章:真冬の太平洋編
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FILE:61 真冬の太平洋戦争

FILE:61 真冬の太平洋戦争

早乙女空母 管制室。

「二佐。どうなさいます?」

「・・・西シュンスケ二佐以下隊員の搭乗は許可しない・・・。」

管制室にいた空軍関係者全員が驚いた表情となった。

当然だった。例え基地を脱しても西は彼らの司令塔だったからだ。


「で、ですが二佐・・・。」

「おい。整備担当の菊池を呼べ。」

一人の声を遮ってなぜか関係の無い男の名を呼ぶ飯島。

兵士は直ぐに整備室へと向かう。


「何でしょう。二佐。」

「無線を借りるぞ。」

そう言って飯島は菊池から無線を奪い取る形で入手。


【141.○○○:ニシシレイ】

という無機質な女性の声が無線から流れる。

そして、事情を知らない兵士たちはまたしても驚かさせる結果となる。


地上。

「菊池から入電・・・?」

「・・・?」

西は無線の反応を直ぐに感知し、無線に応答する。

【こちら、西。どうした?菊池。】

【飯島だ。シュンスケ。お前たちは乗せられない。】

【・・・。だから?】

西は相手が自分の同期だと直ぐに理解して、声色を変える。

しかし、その辺の余裕を装う行動は飯島も同じだった。


【俺たちは根無し草だ・・・。勝手に行動したこと間違いないが・・・。お前の立っているそこは俺たちの故郷だッ!】

―シュンスケ・・・。お前はこの3週間、何を見た?

飯島の中に不思議な気持ちが生まれた。そして、管制室を再び出て甲板へと向かう。


時期は師走。太平洋側としては珍しい雪がちらつき始めていた。

「気象士に聞け。この雪はどれぐらい続く。」

冷静に空軍のトップとしての仕事を果たしつつ、真下にいる同僚に無線で応じる。

【良いだろう。すぐに搭乗するように手配する。】


「おい!司令他4名を搭乗させる。準備にかかれ。」

□■

早乙女空母 食堂。

「勝手な行動故ですので・・・。」

一人の兵士がそう言って5人を軟禁状態にする。


「ま、待ってください二佐!」

その行動を一部始終を見ていた菊池が直ぐに飯島に抗議する。

「軟禁だなんて・・・。彼らはスパイでもありません。同じ国の民なんですよ!」


早乙女空母 寄宿室。

「この部屋もそのまま移設したんだな・・・。」

1ヶ月ほど入室しなかった部屋は当時と全く同じだった。それでも入念に掃除をしてくれていたのか埃一つ目立たない。

菊池のおかげで彼らの軟禁は何とか取り下げられる結果となった。

しかし、それでも行動には制限をつけると飯島は公言していた。


ドサッと西はベッドに腰を下ろす。


早乙女空母 PM:19:00 食堂。

「甲板兵は何て?」

「まだ、両者共に接触はしていないらしい。」


ビービーッ!


警報が鳴り響いた。

「極東より入電!戦闘が始まったようです!」


「全員、配置につけ!」


□■

極東 管制室。

「いつでも10式を放てる様に準備しておけ。」

「はっ!」

今井コウヘイ空曹長が少し緊張の面持ちでそう告げる。


甲板では既に3門の10式戦車に人間が乗り込んでいた。

「敵影です!左45度に旋回!」

「了解。左45度に旋回確認!後方戦闘用意良し!10式戦車発射準備。角度は60度上空!」


極東 甲板。

「聞いたか?60度上に上げろ。」

「了解。敵影捕らえました。」

竹谷が柳に問う。彼らにとってもこんな戦闘の経験は無かった。

周りの2門の砲もまた60度上に向いている。


「撃ち方始め!!」


ドーンッ!

 ドドーンッ!!

   ドーン!!

轟いた3回の轟音。幸いにも走行中でも主砲の照準を目標に指向し続ける追尾能力を持つ10式戦車の弾にあたり、大破する飛行船。


極東 管制室。

「目標の沈黙を確認!」

「空曹長!この雪は数時間は続きます。」

戦闘の直後、結果を戦闘中に言うわけもいかないと判断し黙っていた気象衛星士がそう告げる。

今井は「了解」とだけ返す。

「甲板兵。海上はどうなっている?」

外にいる兵士に無線でそう話しかける今井。


「はっ。両者共にまだ撃沈された船はありません。」

「空曹長、この近辺にはまだ飛行船は確認できていないのでもう少し近づいてみては?」

一人がそう提案する。今井は少し口角を上げてそれを了承する。


「右60度に旋回しろ。そのまま、直進だ。」

「了解。」

パイロットとして搭乗しているライズはそれを受け、舵を取る。


□■

早乙女空母 管制室。

「司令は?」

「いえ・・・?」

飯島は先ほど今井から一機の飛行船を撃墜した報告を受け安堵していた。

あれ以来、近辺では飛行船を確認出来ておらず極東がさらに海戦に接近すると聞いて自身たちも少しずつその距離を縮めていた。

「整備に報告。F-15DJの投入命令だ。」


早乙女空母 滑走路。

「イーグルの出撃だ。急げ!」

パイロットも整備士達も皆、緊張の表情で作業に挑む。


「F-15DJ!発艦!」

準備の素早さが格段にあがっていた。


早乙女空母 管制室。

「二佐、大丈夫でしょうか?近づいても。」

ガチャン。

そこで声を遮るように誰かがドアを開けて中に入ってくる。

そして、飯島から無線を取り、男が指示をする。


「高度を300上げろ。それから、左に180度旋回。先刻の戦闘位置程度まで戻ってくれ。」

「勝手な行動をしないでもらおうか。総軍二佐。」

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