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ワンダーリアル  作者: 淡水
第七章:セントラル衝突飯島視点編
43/80

FILE:43 空中戦艦 「極東」

テンプル王国 宮殿。

空気が一気に凍てついていた。テンプル王国の周辺を彷徨いていた南部の兵士たちもまた、その体を凍えさせていた。

「こちらは暑いのね。暑いのはわたくしは嫌ですの。」

氷の女王の入国に王国は一変する。


FILE:43 空中戦艦「極東」


飯島たちもまたその空気の一変のしように驚いていた。

―まさか、ここまで迫力があるとは・・・。


本来、この様な言葉を女性に向かって使うようなものでは無い。

だが、それ以上に彼女を示す言葉が無かった。

城の謁見場には本来座るべき王では無く、彼女の姿がある。


「お初にお目にかかります女王。早乙女空母 飯島ヒデキと申します。」

謁見場には飯島と女王他、数名の記者、護衛もいた。しかし、記者は一介の兵士?らしき男が女王に謁見している理由が見当たらずさして興味も示した様子を見せなかった。

「なるほど・・・。貴殿が・・・例の?」

「存じ上げておりましたか。」

女王は事情を知らぬ者が多いと直ぐに把握して、誤魔化しつつそう問う。

飯島もまたその女王の心遣いを理解して、回答する。


「まぁ、マジックなら後で見させてもらうとするわ。ところでそんな貴殿たちが北部に協力とはどうされた?」

「我々は元いた世界に戻ることは半ば諦めています。ですが、ここで生きていくにしても戦争が起きているんでは・・・。ならば、いっそのと終戦に協力するのもまた良いかと。」

ふっと少し女王の口角が上がる。まるで少し失望したかの様に・・・。


「貴殿は嘘をつくのがヘタであるな・・・。終戦ならば南部に協力しても終戦はするぞ?北部に協力すれば反撃が可能で長引くだけですの。」

「・・・。」

生真面目な飯島は反論の余地を許されず、遂に言葉を失う。


「・・・まぁ良い。貴殿の目的が世界にどれだけ影響を与えるか。’前の二の舞’が無さそうなだけ良しとしよう。」

「ま、前・・・?」

「こちらの話ですの。ところで、お願いがありますの。」

話を逸らすと不意にお願いと言い始める。


センターワールドシーにて滞在している船団に今度突入する予定ですの。ですけど、生憎氷の船団は居ても空が心配ですの。他の大陸船団と混じって一緒に貴殿たちも参加して欲しいのですわ。」

「お安い御用です。」


最後にお願いをしたかと思えば、その反応に満足げに顔を微笑ませその場を後にする女王。

長旅で疲れたそうだ。


□■

早乙女空母 作戦室。

「というのが女王の依頼だ。」

「なるほど。もしかすると、本土戦争では最も大きな海戦となるかも知れませんね。」

「あぁ。だからこそ空が必要なんだろう。」

作戦会議に一緒に参加していた吉岡があーッ!という表情で手を打った。


「どうしたものかな。連中が小回りが利く。」

ホウキ群を知っていた飯島は連中が戦闘機とは違って小回りが利くことも勿論知っていた。


「二佐!地上にPAC-3を配備するのは如何でしょうか?」

「・・・いや、難しいな。パトリオットミサイルは成るべく消耗するわけにはいかない。」

飯島はそれを使うことを躊躇う。


「では!?」

「・・・戦車部隊か、迎撃システムを滑走路に配備するのはどうか?」

「え!?」

一同は驚いた表情となった。戦車などと言う重量が半端無く重いものを空飛ぶ船に設置すると言うから。


「それは流石に無理があるでしょう。そもそも空母である本艦が前線に立つのは難しいのでは?」

「ならば、考えはありまっせ?」

突然、作戦室に男の声が鳴り響いた。


いつから話を聞いていたのか、空母の操縦にあたっている飛行士が話に入ってくる。

「こいつは確かに大型の移動用の船。ですけど、もとより設置されてる倉庫にゃ戦闘に備えた戦艦もあるんだ。」


倉庫。

「なるほど・・・。確かにこれに戦車を魔法で固定、そうすれば下手な軍艦よりずっと強力ですね。」

「あぁ。重ねて短距離誘導弾を設置するのも可能そうだ。」

整備士の菊池ケンスケと共に戦艦を見に来た飯島は満足気な表情になった。


「よし、こいつを使わせてもらおう・・・。こいつは・・・空中戦艦「極東」だ・・・。」

「ほぅ。縦文字とは小洒落てらっしゃる。」

ひとりの若い男が彼らの会話を聞いていたようだ。


「あ、申し遅れました。私、早乙女空母及び戦艦の操縦桿を握るライズ・ボイルです。この戦艦自体はひとりで操縦できますんで、私一人が極東専任ですね。」

ハキハキと会話する元気な男と取れる。


「飯島ヒデキだ。」

「あ、自分は菊池ケンスケです。」

ライズは一礼をして、中へ入ることを促す。


「なるほど・・・。空母に格納されてる戦艦などとそこまで期待してはいなかったが中々すごいじゃないか。」

飯島はその巨体を見つめ、そう呟いた。


「ま、操縦の方は私にお任せを。」

「あぁ。よろしく頼むよ。俺はこの辺で失礼するよ。極東に乗らせる小隊を編成してくる。」

そう、伝えると二人をその場に残し立ち去る。


「あの人は信頼出来ますか?」

不意にライズは極東を見つめ、菊池に問い始める。


「え?信頼・・・は出来ますよ。」

「・・・そうですか。」

そう残すとライズも倉庫を後にする。それを確認すると菊池は不意に無線を取り出す。


「司令。聞こえますか?」

ノイズが強い。しかし、相手からははっきりと「あぁ。」という声が聞こえた。


「空母内に戦艦がありました。飯島二佐はこれを使って、海戦に空から参加するつもりです。」

「・・・。ヒデキの奴、染みてきたな。」

相手方は少し困ったと言う声をしている。だが、スっとトーンを変える。


「わざわざ、残ってもらって済まないな。菊池。」

「いえ。」

「・・・。後はエリア王国の現将軍と話をつけてくる。失敗は許されない。お前の言うとおり大和の狙いがワ爆だと不味い。下手すれば地球ごと燃え尽きると例えても過言じゃない。」

菊池の表情が一気に引き締まる。


早乙女空母 管制室。

「艦内から無線発進を確認。倉庫ですね。」

「・・・ジャミングしろ。」

「はっ。」


早乙女空母 倉庫。

「ヒデキのことだ。その内、ジャミングをかけてくる頃だろう。もう切るぞ。健闘を祈ってる。」

「司令の方こそ・・・。」

ブツッと切れる音。


―良し、自分の頑張らねば・・・。


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