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ワンダーリアル  作者: 淡水
第七章:セントラル衝突飯島視点編
41/80

FILE:41 オーバーシー号

飯島達がエリア王国の軍詰所にいた頃。小隊は遂に鉄壁の王国「テンプル王国」への入国を許可されていた。


テンプル市街。

「二佐より通達ッ!早乙女基地を乗せた早乙女空母が離陸に成功。」

小隊の中に歓声が上がった。


だが、それが消え去ったのは直後の浅田の失踪からだった。しかし、これからテンプル王国の王 アルバート・テンプルに会う。

そこで彼らの緊張と如何に自分たちが優位に立てるかの駆け引き。それらが沸き起こる。


テンプル城 謁見場。

「なるほど。噂に聞いていたが、君たちが例の科学の人間たちか。」

その男はえらく若い男だった。優しさの中にある厳しさ、それらを一手に表しつつもその淡麗な顔つき。

「先刻は獣共が助かったね。最強の盾を持っていても最強の矛などありはしない。彼らを救うことは容易では無かったのだよ。」

「存じ上げております。」

―威圧。

この男から感じられるのは静かなその声に混じった強い意思。


彼らが王に謁見していた頃、セントラル付近の太平洋。

船。南部軍の誇る軍艦が佇んでいた。それはまるで屍の様な幽霊船。その甲板に人影があった。

「はぁ・・・はぁ・・・。」

海の里所属の兵士、ザック・トンプソンは北部軍に畏怖があった。それほどまでに彼は恐ろしいものを見たのだった。


ザックが北部の氷の船団と接触する直前。

南部の兵士達の姿は甲板にあった。皆、目を皿にし先から来るものを視認し続けた。最初に異常に気がついたのは指揮に当たっていたザック。

皆、一生懸命にそれらを見ていた故もあって興奮状態。


そんな中唯一冷静だった男は空間が過去経験したことも無いほどに凍てついていることを察した。


ガクンッと、そんなことを感じた直後に体に大きな振動が介入する。

何ら捕まっていなかったザックはそれが原因で、呆気なく転んだ。


「何だ・・・?」


先ほど感じた凍てついた空間と言い、何か良からぬ事が身にふろうとしている。彼は直ぐに海を見るため船から身を乗り出させる。

「凍っているッ!?」


先刻まで微塵と感じなかった空間の異変に次いで呼応するが如く、海も少し凍てついている。

海の上にいることはしょっちゅうであったがこの経験は初めてであった。


ドーンッ!!!


「うわッ!?」

何らかの爆発音の直後、今度は手すりを握っていたとは言いつつ衝撃が彼を襲った。

「ザック砲撃長ッ!後部より氷の船団と思わしき攻撃を確認ッ!第三区より出火もしてます!」

「ちっ!先手を取られた。」

その瞬間、少し離れた場所に氷で造形された船らしき物体が横に並び出す。

「やろうってのか・・・?砲台を3時の方向ッ!魔術担当に壁を張れと伝えろ!」


ギギギギギ・・・。


潮風を浴びて少し錆び付いた砲台が唸りを上げて3時方向に砲を向ける。


ドーンッ!ドドーンッ!!


連射機能に長けていたそれは連続した砲撃の音を示す。

しかし、途端に海の氷が一斉に強さを増しうねりを作って壁となる。少し遅れて壁は砲撃により砕け散った。

直後に今まで一番強い衝撃がザックを襲う。


そして、船は遂に身動きさえ取れない状況となった。


コォォォォ・・・。


空気を裂く音が頭上からする。

ピカッピカッ!

蜂の巣に後方が浴びていることを容易に想像出来た。ザックは急いで管制室に飛び込む。


その瞬間―。


「はッ!?」


頭上を通り抜ける閃光とも例えられる数多のホウキ群。

そこからは船は為すがまま、ザックは見守り続けたのだ。船が傾き、沈んでいく姿を・・・。ある程度して北部軍は直ぐに別の船を攻撃しだした。


戦闘が始まって僅か20分程度の出来事だった。


再び甲板のザック。

結局船は沈みきらず、岸壁とも取れる物体へと豹変していた。

後方の船は完全にその姿を水中に隠していた。漂っているのは油の混じった気色の悪い海。


「・・・。?」

ザックは目に入った砲台。それが何ら傷を受けていないことに気がつく。

そして、さらにその目先に氷の船団がいるのだ。


走って直ぐに砲台を手中に収めるが如くレバーを握った。


そして、大きくトリガーを引く。

てぇッ!」


ドーンッ!


休戦となった海に響く轟音。

「ぐッ!」

衝撃で思わず後ろに倒れるザックは放った弾が氷の船団の船に直撃したのを確認した。


―やった!


その言葉が心で叫ばれた。しかし、最後の最後に彼は見たのだ。砲弾が発射させるのを・・・。

彼は丸い砲弾の先を確かに確認した。凸してくる砲弾をスローモーション・・・いや、世界全てがスローモーションとなる。

気が付けば自分は恐れをなして管制室に飛び込んでいた。


バッガーンッ!!


飛び込むと同時にそれは着弾しトドメを刺される。彼はその頃に窓を突き破って沈みゆく中、極寒の海へと飛び込んでいた。

彼の船、オーバーシー号が沈みゆくの見ながら。

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