FILE:40 早乙女空母
本土戦争終結後の世界で伝えられ続けるであろう陸空海戦。「セントラル衝突」。
そして、ここに謎の勢力が交わったというのも後に語られる。
早乙女基地 管制室。
「この作戦には海以外の全てを制するのですら難しい。」
飯島が無線の先にそう告げる。
派遣した小隊。彼らは既にイーストテンプルの王国、テンプル王国にたどり着いていた。
テンプル王国付近。小隊の様子。
「・・・どこもかしこも戦火が上がってるなッ!」
中隊達は王国の付近にあった洞窟へと姿を隠していたのだ。これが予想を遥かに超えるほどの戦闘がどこでも始まっていたのだ。
王国付近はさほど酷くないと分かっただけでも儲けもの状態。
「合図で突撃する。いいなッ!」
総勢30人ほどの部隊は小隊長の3本指に注目する。それが一本ずつ、折られていく。
短くとも長いそれ。
そして、最後の一本に手中に収まった瞬間―。
「GO!GO!GOッ!!」
洞窟を一斉に抜け出す小隊。周りの北部の獣達が一斉に驚いた表情をする。
同時に呆気にとられる南部軍。
ダダダダンッダダッ!!
ズダダダッッ!!
配布されている89式5.56mm小銃の銃声。それらは一瞬で南部軍の兵士たちに風穴を開け込む。
「な、!?」
驚きのあまり自分たちの体に起きた異変にあまり気がつくことが出来ない南部軍の兵士たち。
一瞬で南部軍の30人あまりの兵士は死体へと変貌した。
「き、貴殿たちは誰だ・・・?北部の者でも無いな?」
畏怖を示しているのは何も南部だけだは無かった。氷の城より出兵していた獣たちもまた然り。
「・・・私たちは、テンプル王国に用があって来たのだ。」
□■
地上で戦闘が行われていた10分ほど前、上空。
小隊を乗せていたCH-53の安全を確保しつつ前線から離れたのを確認してからイーグルの群れは地上に見えた南部の基地を発見していた。
「殺りますか?」
「あぁ。今にも飛びそうだ。何としてもテンプル王国入国までは攻撃を回避させたい。構いませんか?飯島二佐!」
「構わん。指示は私が出す。」
飯島はレーダーに映し出された基地の映像を見つめ、暫し考える。
「レーダーに感ッ!7時方向より飛行物体を確認ッ!」
指示を待っていた一人のパイロットがそう伝える。一瞬にして緊張が張り詰められる。
「20mmバルカン砲を使えッ!」
ダダダダダ!
回転しつつ、砲台が一機の偵察に来ていた兵士を貫く。
「イーグルに伝達・・・。無誘導爆弾、Mark82の使用を許可する。」
「了解ッ!」
向こうから決断の表情まで読み取れた瞬間でもあった。
そして、魚の様な姿をしたMark82が落とされたのは僅か数秒後。
そして、それが爆発し、炎上するまで2分。
そして、基地が燃やされ尽くす頃には・・・イーグルは別の場所にいた・・・。
一方その頃、飯島はIT作戦と同時にあることを考えていた。
既にヒューズ・イノセントに話を通しており、準備をしてもらっていたのだ。
そして、数時間前その準備が完了したという旨。
「只今より、この早乙女軍基地は・・・この地を離れ大型大陸船団を空母としてまた基地として使用する。」
戦闘の最中ということもあった。しかし、彼らが姿を現したのはアランカ地方と要は南部軍エリア。
仮にも北部の肩を持った以上、これ以上この地に腰を下ろしておくことはできなかったのだ。
荷物はある程度まとめられおり、空軍のレーダー機器も全て早乙女空母に搭載された。
大佐直属の大陸船団員達はえらく凌駕の表示をしていたが直ぐに理解をしてくれた。
半日後には空母は遂に地を離すことととなった。下に見えるのは空となった基地の姿。
早乙女空母 管制室。
「移動出来るとやっぱりありがたいですね。」
この異常の地でもやはり冷静さは消えない空軍の兵士たち。飯島も満足げに頷く。
「何しろビクビクしていたんだ。固定されている以上はな。」
慎重が取り柄とも言えた飯島はこの不安を消すことに若干成功し、安堵の笑みを浮かべていた。
彼らが向かっているのは、まずフォースノーツ。
遂に明日浅田が退院すると聞いたため移動しながら拾っていくことにしたのだ。
□■
「い、いなくなったッ!?」
「はい。昨夜、兵士さんが突然現れ何か会話していったかと思われれば翌日には浅田さんごと・・・。」
病院についた飯島は焦った表情をしていた。
迎えに来たはよかったが肝心の人間が行方不明だというのだ。
「兵士とな・・・?」
「はい。細い目をして軍服を来た男です。」
一緒に来ていたイノセントも一体誰が面会したのか気にしていた。
軍所に戻った記録を飯島と読むことに。
12/17 ウィニー・パディントン:外出。
「あの野郎ッ!」
イノセントの表情が一気に険しくなった・・・。




