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ワンダーリアル  作者: 淡水
第一章:絶対防衛ライン突破編
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FILE:3 対空機関砲VADS

「あの、あなた方は魔法を使えないんですか?」

聴診器を心臓部に当てている富山ハヤト軍医に聞く、火の里の兵士 大和タケル。

「これがあなたたちが妄想の類と言う科学のものです。内臓に傷が入っていないか確かめますんで。」

少し前にも記述したとおり、国防軍になった後、旧自衛隊の設備は強化された。それは決して装備品だけではなかった。

傷ついた兵士のことも緊急で手当てができるように軍の病院が基地にはひとつ。必ず設置されることになったのだ。


「これが・・・科学の力・・・?」

人間ドックをほとんどやり遂げ、自分のレントゲン写真を見つめながら絶句に近い声で言葉を発する大和。


コンコン・・・。

富山と西、大和しかいない空間に誰かがやってくる。

「川田一等空士。」

「失礼します。」の声と共に中に入ってきたのは川田。

「空軍の仕事はいいのか?」

西は陸空軍にはあまり詳しく無かった。総括の総軍でありながら。

「はい、任せてきました。この世界に関して少し考察してみたので是非一度西中尉に聞いていただく思いまして。」


本来一個人の考えなど、実際にはあまり信憑性など帯びていない。

だが、西とっても早乙女総陸空軍のためにも何にかに縋るべきだと感じた西は川田に話すよう促す。

「私の考えでは、世の中を生きていくため二つの種族があると思います。それは'信じる心を持って事を成す者'もうひとつは'成長することに身を委ねた者。'その違いこそが魔法と科学なのではないでしょうか?」

「確かにその回答にあまり狂いは無さそうだな・・・。」



ビービー!!ビービー!!

警報音が診察室にも響き渡る。


「敵襲かっ!?」

西が天井を仰ぎ見る。


「敵襲を確認した。すべての陸軍兵士は装備を整え、戦闘に備えよ。空軍兵士及び整備士はスクランブルに備え、準備を急げ。総軍兵士は至急作戦室へ向かえ。以上。」

スピーカーから浅田指令の声が鳴り響く。


西はすぐに作戦室へと走った。


□■

早乙女基地 作戦室。

「先ほど空軍より基地から約10km東に数機の飛行物体を感知したとのことです。」

「それはおそらく空の里の人間だろう・・・。」

そこで総軍にはいない声が響いた。全員が目線をそっちに送る。が、やはり見たこともない人間。


「彼は?」

「現地民で、火の里の大和タケルという人物です。」

西と浅田の間に簡単な紹介の会話が飛び交う。が、他数名で構成されている総軍士の顔はあまり宜しくない。


「怪我をしており、担当医は富山軍医です。」

「あぁ。彼の傷はひどくない。我々の常識だけでは勝てぬ相手でしょう。アドバイスや情報を提供してくれるそうだ。」

だが、やはり顔の緊張を隠しきれない面々に浅田は先ほどよりかは柔らかな顔をして言う。


「かまわん。我々は向かってきた敵を倒すしか道は無い。全員を生き残らせて帰るのが私の仕事である以上は彼の話を聞かざるは負えないだろう?」

「・・・。どうぞ。」

総軍士の一人 吉岡タカユキは了承の意を示した。


「空の里と言うだけあってご理解はいただけるかと思いますが、空を飛びます。」

「まだ、攻めてきたというのかはわからないが・・・。」

議論はそう長く出来ない。すぐに決定は下された。



-熱源があるのならば’追いかけられる’



□■

早乙女基地 地上。

「対空機関砲VADS準備完了!」

「直上戦闘備えよし!」

そこに用意されていたのは5機の対空機関砲VADS。そこに次いで空軍兵士が何人か現れる。

手にはFIM-92 通称スティンガーの姿。


さらに陸軍の人間たちもM4カービンを中心に、武器を装備している。


□■

早乙女基地周辺上空。

「隊長。あそこに見慣れない物体が!」

そこで隊長といわれた男は指差すほうに目をやる。見えるのは数人の男たちや大砲らしき姿。

「むっ?敵か?だが、どこの里の人間にも見えんな・・・。だが、大砲なぞまであんなに・・・。戦闘能力を確認のために一度戦闘に持ち込むぞっ!」

「了解!」


□■

「飛行物体の拡散確認!攻撃態勢です!」

「これが・・・科学・・・。」

大和は管制室を見ながらつぶやく。


「東、10km先より、同様か未確認の飛行物体が飛来中。」

「かまわん。スクランブル発進だっ!」

地上基地に設置された、F-15が緊急発進体制に移る。

周りの人間が合図を送り、F-15は滑走路を走りこむ。そして、そのまま宙に浮き始める。


カカカッ!

コンクリートに何かが刺さる。


「直上より攻撃確認!」

「攻撃確認ッ!スティンガーを撃て!」


ピピピッ。


「目標捕捉ッ!撃てええぇぇえぇ!!!!」

バシューンッ!!

白い発煙を行いながらミサイルが収まっていた筒から発射させる。


□■

「何だ?さっきの飛行物体はッ!」

「隊長!下から何かがッ!」

そこで、隣の兵士が何かに追われている。


「何だ!あれは!?うじ!振り切れぇええええええ!!!!!!!!!!」



「わわ!うわああああ!無理ですっ!早すぎます!」

ドーンッ!!!

その言葉の直後に、氏はスティンガーの毒牙にかかる。


「くっそうッ。・・・。だが、まだ後方支援がいる。」

「隊長!東よりの後方組が謎の物体に攻撃され、全滅されたそうです!」

そこで隊長は焦燥にかられた。当然だった。見知らぬ何かに殺される恐怖。


□■

「東の飛行物体の全滅を確認。」

「了解。後は基地直上の4機のみです。VADSで撃て。」


□■

「VADSの発射命令が降りた。撃ち方始め!」

バンッバンバーンッ!

5機のVADSが一斉掃射を始める。


□■

「大砲が!発射されました!」

「ちっ!もう無理だ!火の里への奇襲作戦失敗!帰還するぞ!何としてもあの悪魔から振り切るぞ!」

ギューン!!!!!

宙に待っていた空の里の人間は限界のスピードを出した。




だが、真後ろに何か巨大な何かを感じた。



しかし、感じた時には遅かった。


□■

早乙女基地 管制室。

「飛行物体の全滅を確認。」

「これが、戦争ッ・・・!?」

初めての実戦に全身に悪寒が走り回る。これが、俺たちの成したことで、俺たちの体に焼きこまれている軍人としての焼印なのだと。


「全機撤収を急げ。」


□■

早乙女基地 司令室。

「飯島ヒデキ空士長。今日の働きは素晴らしかった。」

「ありがとうございます。」

空軍の作戦指揮を執っていた飯島は浅田に呼び出され、今日の成果をほめられていた。


「しかし、本当に、こんな形で異界の地の戦争にまぎれるとは・・・私も想像しておりませんでした。」

「・・・。兵士に必要なものがある。何か分かるかね?」

浅田は質問を投げつける。


「いえ・・・。」

「答えは適応だと私は思っている。実戦がこんな形になるとは夢にも思える。だが、いつまでも慌てることは出来ない。貴重な人命を救うには我々の冷静な判断が必要だ。」


「そのとおりであります。


□■

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