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ワンダーリアル  作者: 淡水
第三章:南部作戦発動編
23/80

FILE:23 信念の帰還

ゲノム大橋上空。

「F-15DJ一機離脱します。」

「済まない・・・。何としてもCH-53をレイド王国まで護衛してくれッ!」


ギュゥゥゥゥン・・・・!


大島・島岡の乗るイーグルが大きく旋回する。

が、背後に見えるのは幾人もの光の騎士団達。二人の背中にすぅーっと流れる冷たい汗。

同時に浮かぶのはこれまでの戦闘によって出された殉職者達の残像。


「ぜ、絶対に帰るからなッ!島岡ッ!」

諫早の二の舞は絶対に踏まない。軍人が同じ鐵を踏むわけには行かなかった。

大島の全身にかかる大きな錘。


「早乙女基地までの距離・・・・ゲノム大橋のそれと同じ・・・。だが、CH-53の方に敵を回すわけにはいかない・・・。敵を滅して帰還。」

正直、大島の中にも島岡の中にも自爆という選択はあった。



「・・・。諫早に貰ったこの命。誰が引き換えて良い安い命と捉えたッ!?」


口に出して、自分を奮い立たせる大島。簡単に売って良い命である筈が無い。

ならば、全力で走る。滑走路なら用意できてるっ!


大島の目に光が生まれる。


「こちら、大島・島岡搭乗のF-15DJ。只今より早乙女基地に帰還する。しかし、背後に敵が20。武装準備をしておいてくれッ!」


―諫早、見ておいてくれ。この地にか弔えなかった。だが、俺はお前から貰った命、軍人としては使わない・・・。一人の人間として貪欲なまでに使わせて貰う・・・。



「絶対に生きて帰る。これが俺たちの任務だッ!」

「はっ!」


ハンドルを一気に押し込む。最早、霊魂を打ち込むが如く。

イーグルは翼とジェットの部分から白い煙を出して、それを体現するかの様にスピードをあげる。


―さぁ、持つかな?燃料・・・。


徐々にメーターが下がっているのを横目に大島は飛ぶ。

「付近の敵は狙撃しますか?」

「・・・そうしてくれ。」

ババババババババ・・・。


発砲許可を出した瞬間に20mmガトリングが爆音を上げて発砲を始める。

だが、10分もしない内にカチッカチッと金属のエラー音が機内に響く。


「弾切れですッ!」


島岡の顔には不安が貼り付けられる。


「基地まで遠くない15分もあれば帰還出来る。」

大島はここに来て冷静さを取り戻した。感情で勝てる戦争など存在しないと理解しているからだ。


「誘導ミサイルも使ってけ・・・。有り弾を尽かせる勢いで使ってけ。」

「左に旋回ッ!」


イーグルが大きく左に逸れる。飛行機雲が生まれる。そして、目に入るのは黒い雲。


「雨雲・・・!?」


運が悪く、その頃基地の周辺ではスコールが発生していた。

「この雲が・・・・俺たちの命運を決めている・・・。」



FILE:24.5 残量0

「この雲が・・・・俺たちの命運を決めている・・・。」

大島の顔にはもう不安など無かった。


「祈るか?島岡。」

「完璧などありません。ですが、私は貴官を最高のパイロットだと信じています。」



―吹っ切れたッ!!



心の雲はすっきり吹き飛んだ。

これで死んでも悔いは無い。そんな風にも感じた。だが、同時に。



―生きたい!絶対に生きて帰ってやる。



そうも思えた。

「高度を低下。雨雲に・・・突入しますッ!!」

分厚い雲に真っ直ぐ突っ込むイーグル。だが、その瞬間見えたのは早乙女基地。

それが真横に見えるレベルだった。


「ッ!?」


「旋回するぞッ!」

追っ手も流石に雨雲に突っ込む勇気が無かったのか、もうその姿は無かった。

イーグルは一度、大きく高度を上げ、そして見事着陸を果たす。

滑走路には二人を出迎える多くの兵士がいた。そして、同時に歓喜の声を上げる。

大島と島岡の顔にも嬉々とした表情があった。


しかし、その時イーグルの燃料メーターは確かに0を指していた・・・。


ごくりと生唾を飲み込む大島。



―奇跡もんだな・・・。

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