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ワンダーリアル  作者: 淡水
第三章:南部作戦発動編
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FILE:21 南部決戦勃発

「今こそアメリカから借りた’あれ’を使うタイミングだろ?」

西は少し得意げにあるものを使うことを促した。


「あぁ分かっている。整備班に告ぐ、アメリカ海兵隊より派遣されているCH-53二機の使用準備!」

CH-53とは、日本が自衛隊から国防軍に変わった時に、アメリカ海兵隊より早乙女基地以降数箇所の基地に配備された借り物。

元々は、兵士を乗せるヘリだが、今回のみ救助用ヘリとして使用する。パイロットを除きの定員は37名で、借りている二機をフル動員させての作戦となりそうだった。


「ゲノム大橋の攻撃に関してはイーグルで行う。これは海、陸、空の頂上決戦と言っても過言では無い。」

「陽動はどうするんだ?」

西としては肝心の陽動作戦も気になるところ。しかし打って変わって飯島はえらく得意げな笑みを浮かべている。


「何、連中には科学の結晶なんてどれも一緒に見えてる。巡航ミサイルとは言わないが準ずる物を里上空に飛ばし、自爆させれば事はうまく運ぶ。」


―まぁ怪我をしてまともに任務を行えない俺には作戦成功を祈るに限るがな・・・。


「総員に告ぐ。F-15J3機及び、CH-53の準備ッ!南部作戦同時にレイド王国の早期撤退作戦発動。」

それまでもあった熱がその放送を元にさらに過熱する。

地上では既にF-15Jの準備だけ整っており、CH-53の準備に追われる飛行管制の兵士たち。険しい顔つきのままF-15Jに向かって歩いていくパイロット。


30分もしない内に全てが整った。


□■

同時刻 ゲノム大橋。

基地から作戦が行われ始めた頃、既に進行していた森の里を止めるべく遂に海の里の兵士も動き出していた。

森と海を唯一繋ぐ橋。これさえ取れば互が互の里を直接叩ける。

そして、邪魔をすることの出来る空の里は謎の滅亡を迎え、戦状は完全に二者に分散した。

基地の連中を除き、セルノーツ全体が気にかけている本戦争。元々は5種族は協定を結んでいた。しかし、火の里の奇妙な行動が原因で、協定関係は一気に崩れ去った。


セルノーツ南部諸島の方で隊の先頭にいたグリフォン。

グリフォンの脳の片隅を横切る大和の姿。


―大和、お前は俺たち・・・いや、この戦争の全てを笑っているのか?


ゲノム大橋 上空。

「こちら、撤退飛行隊。現在ゲノム大橋を確認。まだ、戦闘は始まっていない模様。」

地上に見えるのは多くの人数。だが、そこに大きな動きは無い。お互いを見合っている様子。


「こちら、本部。了解。気をつけてレイド王国まで飛んでくれ。」

戦闘機の大きな音にヘリコプターの空気を裂く音が上空に響きわたる。


「・・・。上空騎士団よ。例のあいつらだな?頼んだぞ。」

森の里の兵士が光の里の兵士に話しかける。

この中で直接戦闘を行なったのは光の里のみ。少しずつ露見し始めている科学の連中のために森の里も策を取っていたのだ。


「・・・。全軍・・・進めッ!!!」

ウオオォォォ―!!!


男たちの大きな咆哮が周りを振動させる。


「全軍・・・!戦闘用意ッ!!」

早いスタートダッシュをかけた森の里に対して海の里は静かなる熱を持っていた。状況を冷静に見極め、進行を遅らせるためにも壁を作ることに。


「防御隊、壁を頼む。」

グリフォンは己の背後にいる女に指示を煽る。顔を隠す全身ローブを身にまとった女兵が一人。

女は両腕を肩幅に開ける。そして、手のひらと手のひらと丁度真ん中らへんに青い澄んだ何かが出来る。

その何かは次第に大きくなる。大きくなるにつれそれは両手のひらを結ぶ水のロープの様な細長いものへと変わっていく。

両手のひらを結ぶ長さになった瞬間、左手を上空へと投げた。自然と左側にあった水のヒモは右手に集まり、野球選手の様に大きく振りかぶったの後に水のヒモは先ほどの長さを凌駕させるかの如く、水平に伸び続ける。


くん!と水平だった水のヒモが曲がる。ザバン!とそのまま急降下し海に墜落。かと思わせた時に橋の反対側から再び浮上する水のヒモ。それを幾度と無く繰り返し、水のトンネルがゲノム大橋の半分を制圧する。


「ちっ。海の連中め、早速防御態勢か?」

血気盛んな森の里の連中が防御態勢の海の里を嘲笑う。



「この大戦。我々が貰うからな・・・。」

その中で冷静さを唯一持ち合わせていた森の里のクリス・ウォールは静かな闘士を燃やし始めた。

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