FILE:18 許した浸入
エリア王国 旧市街地。
「うまく、やってくれたな志木。」
「いいえ。狙撃もナイスでしたよ。」
「そりゃ良かった。」
一同は安堵に包まれる。
「無礼者ッ!貴様たちは何者だッ!名乗れ!」
「これはご無礼を・・・。」
直ぐに名乗ろうとして迷った。国王は知っているのだろうか。
同時に大和が脳裏に浮かぶ。
「・・・貴様たちが科学の民だな・・・。」
何かを察して、そう切り返すブラット。
「知っておりましたか・・・。」
「・・・。大和タケルならもうおらん。奴はノースアンゴルへの渡航を要請してきたが突っぱねてやったらどこかへ消えたよ。」
ノースアンゴルとは北アメリカの事だとそっと呟く志木。
「だが、私の様な飾りを救ったことはうれしかった。」
寂しそうに笑いながらそう喜びの旨を伝えるブラット。それを静かに黙って聴く部隊。
「・・・国王、ここでは目立ちます。ほとぼりが冷めるまではこちらに。」
西は宿屋へと案内する。
「ふむ。綺麗な宿屋だ。」
どこか満足そうに宿屋の概観を眺めて直ぐに中に入っていく。
□■
早乙女基地 管制室。
「浅田司令。西中尉より報告。大和タケルの足取りは掴めずですが国王の暗殺は阻止したそうです。」
飯島は入電した紙を持って浅田に報告をする。窓から外を眺めていた浅田は踏ん切りのついた表情で指示を出す。
「では、これより早乙女空軍は南部作戦を実行する。」
エリア王国 宿屋。
「何?南部作戦。」
「飯島空士長は、空の里の様にただ見殺しにするより人命救助及び早期終戦を望んでいる。」
「・・・ならば、俺は止めはしない。司令も認めたことだしな。」
夕暮れ時、空は真っ赤に染まっていた。
数時間後。
「え?良いんですか?中尉。」
「あぁ。たまにはお前らも息を抜け。」
エリア王国に到着した直後に飲んだビールが忘れられなかった西は息を抜くことの重要さに気がついた。
そこで、ここは一旦俺が国王を見ているから部隊は一度息を抜いて来いと西が進めたのだ。
部隊は喜んだ表情で宿屋を後にした。
「志木は良かったのか?」
「えぇ。」
残った志木に目線を送り、心配する西。そして、表情を緩め頷く志木。
志木は部屋を後にし、一階のロビーへと向かう。
―あの男はやるな・・・。
志木は西を信頼していた。作戦の指揮にも憧れるところが多々ある。
「志木。動くなよ。」
受付係や他の客がいないことを良しに誰かが背後にいる。
「・・・大和タケルッ!!」
背後で自分と同じ銃を持つ人間。声と匂いで理解した。
―真後ろに憎き大和タケルがいる。
大和は何事も無い表情で、近くの空き部屋に志木を連れて行く。
空き部屋で志木は手足を拘束され、身動きが取れないまま大和が部屋を後にするのを見届ける。
カツカツカツ・・・。
木製の階段を静かに上っていく音。
そして、西とブラットのいる部屋の前で銃を握り締め、ゆっくりと空ける。
見えるのは真っ暗な部屋。
誰もいないと思わせる空間。
「久しぶりだな・・・大和。」
「・・・これは我が友 西。」
お互いがお互いの存在に気がついた素振りを見せるかのように挨拶をする。
「基地の皆さんが南部決戦に突入するのはご存知ですか?」
「・・・何故、南部作戦を知っている?」
暗闇と対談している様にも見える大和は銃を持ち上げる。
「そんなことはどうでも良い。どいてください。下にいる国王の命・・・この私が頂く。」
カチャリ。西も新拳銃を構える。
「貴方に引けますか?運命の引き金これは単なる理想や感情では撃てませんよ?」
「・・・。」
―俺に引けるわけが無い。だが、引かなければならない・・・。
ダンッ!!!!!
一発の銃声が宿屋と周辺にばら撒かれる。




