FILE:15 高射運用
注意:本作品の階級、システムは現在の自衛隊とは異なっている部分があります。ご注意を。
「どうして!お前まで辞めるなんてッ!」
「返してくれ。」
スっと俺から退学手続きの紙を取り上げるとビリビリと悪意を込め、それを破り去る。
「こんな奴とは一緒の扱いを受けたくないね。」
それだけ言い残すと飯島はその場を直ぐに去っていった。追いかけて問い詰めようとすると、彼はヒートダウンした表情でうっすらと笑う。
「俺には選択が出来ないのかもな・・・。」
「選択?」
被っていた帽子をかぶりなおすとその眼光は西に向けられているか様にも見えたがまるで軍事の世の中を見据えるかのような真っ直ぐな瞳。
「俺には高射運用の様な役が出来るのか?管制室に立つ以上、俺には高射運用でミサイルを発射することが容易に出来るのか?戦争になればただ来るミサイルを撃ち落とせばいいだけじゃないんだ。その時に俺は判断を下せるのか?」
「出せるさ・・・。人を殺すことに楽観でいてはならない。必要であれば覚悟を決める。その時までに心の準備が出来てたら問題無い。」
その言葉と同時に西も吹っ切れたと言わんばかりにビリリッ!っと紙を破り捨てた。
□■
戻って酒屋。
「そんなことがあったんですか・・・。私たちは徴兵でしたからね・・・。」
「進んで戦場へ来た俺たちは滑稽かもな。」
「いいえ!まさか!」
志木は大きく手を横に振る。
「しかし、覚めたな。これだけ飲んだら出発しよう。」
丁度、タイミングよく若い娘がビールを運んでくる。
「折角ですし、乾杯でも?」
志木が気をきかせ、ジョッキをあげる。西もふっと少し和らいだ表情になると、カーンとそれがぶつかり合う音が響く。
30分後。
「分かったことは?」
西が全員が揃った部隊に聞く。
「はっ。出発前に志木さんが言っていた国王暗殺に関する話ですが、数日後この広場で実行出来そうなイベントがあります。」
「・・・エリア祭・・・か。」
腕組をして報告を受けていた志木がちろりと目線を白田に向けつつ、ほぼ確信の問をする。
「はい・・・。」
「・・・。もし仮にそうだどすれば危険だな・・・。」
西としても大きな情報源でもあるブラット国王に死なれるわけにはいかなかった。
「良し。取りあえず、志木は滝と行ってくれ。」
「はっ。」
「ふむ。」
そこで、彼等の近くを軍服のようなものを来た、筋肉隆々な男が通り過ぎていく。
「イノセント大佐ッ!」
志木は驚いた表情でその男を見た。
「イノセント?」
「ヒューズ・イノセント大佐。エリア国王直轄部隊『ウルフ』で、次期将軍とも言われてます。ですが、一方で現在の将軍と国王の政治にはあまりよく思っておらず、反乱組織を見逃したりしてるらしいです・・・。」
しかし、運が良いのか悪いのか・・・イノセントは西と部隊に気が付く。
「おい。貴様達。何者だ?」
服装は同じ・・・だが、それ以前にもっと脱げない何かに気が付いたイノセント。
「我々は滅んだ火の里の者です。」
少し焦り気味の様子の志木。続き、緊張の漂う部隊。
「どうだろうな。おい!こいつらを軍所に連れて行け!」
後ろを付いていた護衛のような男達が突然、彼等を拘束する。
「わ、我々は!」
西が叫ぶ。
「民間人と名乗りたいか?ならば、その腰に収められた”何か”は里においてくるんだったなッ。」




