FILE:13 雨の追悼
前回13話の中でストーリーに不具合があったんで修正しました!
「雨か・・・。」
しとしとと窓から写る暗い空と大量の水滴。
「時間軸や構造が一緒ならば今の時期は梅雨でも間違いないからな・・・。」
西と飯島は喫煙室でタバコを吸っていた。
「なぁ。人を殺すのは簡単なんだな・・・。」
飯島が外に身を少し乗り出しそう語ろうと話しかけた。
「あぁ。俺だって二人は殺した・・・。」
「お前はその手で殺した。だが、俺は機械達に守られて指示をした。パトリオットを撃つって。映像に映し出された男の顔が今でも分かる。男たちが座っていた。笑っていた!!俺は・・・。」
ドンッ!
飯島は冊子を叩く。金属の人肌がぶつかる音が響こうとする。だが、それは雨の音でかき消される。
「大和は何をしにいったんだろうな?大きな王国へ。」
西が吸っていたタバコを灰皿に押し付ける。
「さぁな・・・。だが、一国の国王とコンタクトが取れるんだろう?あいつにはあいつの網があるんだろ・・。」
「そうです。」
タバコのニオイが充満する部屋に西のでも飯島のでも無い声が聞こえる。
「志木・・・。」
少し煙たそうに顔をしかめる一人の男。
「あの男は戦争をしているどの里ともコンタクトをとっていた。多分、それが今回の戦闘の原因では無いかと・・・。」
確かに自分の里を滅ぼす理由は分からないが基地に対して攻撃をしてきたという点では頷ける。
「西中尉!」
また、声が増える。タバコを吸う斉木は煙を平気そうに西を呼び止める。
「どうした?」
「通信科の死亡者の遺体を回収しました・・・。」
「・・・。」
一同は静まり返った。早乙女基地の被害は通信兵の3名が空の里の兵士が命に替えた竜巻により死亡した。同時に・・・。
□■
早乙女基地 通信科。
「俺は竜巻なんざ、初めて見るがこりゃエグいな・・・。こんなにも傷跡が残るとは・・・。」
数名の兵士が後片付けにおわれていた。当然、日本人である彼らにとって竜巻とは未知にほど近い災害で処理するにもどこか不安もあった。
「しかし、一人の命でか・・・。兵士の鏡かも知れないなぁ・・・。」
一人が呟く。一人の自爆で3人。兵士としてはやれたことかも知れない。
「兵士としては有能たる判断でも、人としては失格だな・・・。」
別の兵士は大きな荷物を持つため腰を下ろしながら言った。そして、そのまま目線を地上を這う蟻に向ける。
「戦闘は動物の本能。死は動物の義務。作戦は人の特権。うまく使えるかはそいつ次第だ・・・。」
自然と隔離した発言で人間を少し皮肉る兵士は「よいしょ」と荷物を抱え、その場を去っていく。
「その点では中尉も司令も空士長も最適かも知れませんね・・・。」
早乙女基地 霊安室。
3つの箱が置かれた部屋。そこで西、飯島、志木は手を合わせる。
「弔うにも家族がいないんではな・・・。」
「・・・。最期を見てもらず、家族は遠く彼方。これじゃああまりにも残酷だ・・・。」
3人の顔は微塵も悲しさを見せなかった。ただ、上司として人として失格したという失墜感。それだけだったのかも知れない。
「南に向かうのはどうだろうか?」
突然、西がそう言い放つ。
「・・・公共の列車ならあります。南に行けばエリア王国までの船だって手配出来るかもしれません。」
志木がその提案をどこか賛成する。
早乙女基地 司令室。
「なるほど・・・大和兵士は何かを知っている。その・・・悪魔とかいう存在に。」
「はい。我々は奴の言うワンダーリアルに付き合う気は微塵もありません。そのために数名の部隊でエリア王国への入国を許可してもらいたいんです・・・。」
司令室には西と浅田とアドバイザーに志木の姿。
「エリア王国のブラット・エリア国王と言えば軍の飾りでエンペスト将軍の言いなりと噂されてます。そして、デモ組織からは暗殺の対象として過去にも数回、暗殺の被害に遭っています。」
「・・・分かった。イイだろう。そちらへ向かうことを了承する。だが、わざわざ南に行かずともヘリを使いなさい。フォースノーツのどこかに着陸できる場をパイロットに判断してもらおう。」
□■
数時間後。
「滝レン曹長です。」
「沢木ケント二等兵。」
「白田イチロウ一等兵。」
三人の男たちが陸軍標準装備で横一列に西の前に並ぶ。
「西シュンスケだ。以後よろしく。」
「ヘリの準備ならできてるぞ!」
パイロットが装備を整え、部隊にそう告げる。
「時間が勿体無い。行きましょう。」
志木が判断を急かせる。それに一つ、首を縦に振り部隊はヘリに乗り込む。
仲間達が一斉に敬礼しているのが見える。
早乙女基地 管制室。
「ヘリの準備が完了しました。」
「了解。01部隊ヘリ離陸ッッ!!」




