FILE:11 目指すもの
―暫く潜っただろうか・・・。
大和に連れられ石造りの地下室へと招かれた西。ところどころに松明が所々まだ燃えている。
「しかし、これで事実上火の里は敗戦したということですか・・・。」
志木がそう呟いた。先刻の言い方が正しければ、復興は絶望的・・・。
「全部の妖精が殺害されたかどうかは黒火液が出るかで分かる・・・。」
大和がポツリと呟いた。
一つの扉が目の前に広がる。小さな木造の扉。
鍵穴に大和は鍵をさし、ガチャリと半回転。
松明が煌々と小さく燃えているのが見える。そして、先には井戸の様な物。
「この下にまだ湧いているか?」
西はライトを取り出し、下の方を見る。ポコポコと何かが湧き上がっている様だ。
「それも科学の力・・・か。俺たちが火で見たら爆発物だぞ?」
「あぁ。大丈夫だ、ちゃんと湧いている。」
「てこと・・・大和、イースは生きてるんだな?」
志木の言うイースとは恐らく妖精のことなのだろうと西は一瞬で理解した。
「・・ということだな。で、早く汲まないのか?」
「ん?あ、一度帰還する。」
カチャリ。
何かの金属音が空洞の地下を響かせる。
「何のマネだ?また、そんなことをするのか?」
カチッ。大和はセーフティーのつまみを解除する。
「見たら分かるだろう?早乙女基地に要請する。火の里の再建協力をしてほしい。」
―やはりな・・・。という感想だけが西にはあった。志木はそれをただ眺めるだけ。
「撃てッ!本当にやれるならばな!この部屋がまるっと爆弾であることも考えてなッ!」
西は両手を大きく広げる。大和が撃つにしてもこの空間は危険過ぎる。つまり、全員の命が危険。
「良いんですよ・・・。私の目的は終戦。そして、夢の世界と現実の世界を織り交ぜた、本当の人間の現実」
「ワンダーリアル・・・。」
西は呟いた。だが、気が付けば前にいた大和は後ろにいた。
「考えるのは眼前の敵を排除してからです。違いますか?西中尉。」
「今なら撃っても殺せるな・・・。」
頭に突きつけられた銃。このタイミングで撃たれれば流石に西も死ぬ。
「ですが、今は生かしておきます・・・。」
カツンカツン・・・・。
足音が空間を支配する。そして、それは徐々に小さくなる。
「待てッ!!」
志木は顔を顰め追いかける。だが、外に出ればホウキに跨る大和。
「何だよッ!あんたは何が目的だッ!どこへ行く!!」
だが、そんなことはお構いなしにホウキは宙に浮き始める。
「待てッ!!例え悪魔がお前を認めてもッ!!国民達が英雄と讃えてもッ!俺だけは!!仲間を殺したお前を死んでも許さないッ!お前を後悔させてやる!仲間をぶち殺したことをッ!!!」
大和は口をパクつかせ、そして上空の彼方へ消えていった。
「奴は何と?」
「エリア王国へ行って、この戦争の張本人 ’エリア国王 ブラッド・エリア国王’に会いに行くらしい。何が目的なのか・・・。」
現在の四国地方の真ん中に位置するらしい。
「追います?」
本当は直ぐ様追いかけたかった。だが・・・。
「一度基地へ戻ろう。宛も無くエリアへ行くのも問題だし、あんたのこともある。」
「・・・すまない。」
□■
早乙女基地 司令室。
「みすみす奴を逃してしまいました。」
西は大きく頭を下げた。
「構わんよ・・・ただ、彼は終戦を狙っているんだね?」
「・・・はい。」
頭をあげる西の代わりに志木が答える。
「西中尉、古来より終戦とはどういうことがある?」
「・・・絶対的な出来事?」
西にはそれの心当たりがあった。
恐ろしき兵器。人はそれを「核兵器」と呼び恐れた。
「つまり、それに匹敵するようなものがこの世界にも・・・?」




