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ワンダーリアル  作者: 淡水
第一章:絶対防衛ライン突破編
11/80

FILE:11 目指すもの

―暫く潜っただろうか・・・。

大和に連れられ石造りの地下室へと招かれた西。ところどころに松明が所々まだ燃えている。

「しかし、これで事実上火の里は敗戦したということですか・・・。」

志木がそう呟いた。先刻の言い方が正しければ、復興は絶望的・・・。


「全部の妖精が殺害されたかどうかは黒火液が出るかで分かる・・・。」

大和がポツリと呟いた。


一つの扉が目の前に広がる。小さな木造の扉。

鍵穴に大和は鍵をさし、ガチャリと半回転。


松明が煌々と小さく燃えているのが見える。そして、先には井戸の様な物。


「この下にまだ湧いているか?」

西はライトを取り出し、下の方を見る。ポコポコと何かが湧き上がっている様だ。

「それも科学の力・・・か。俺たちが火で見たら爆発物だぞ?」

「あぁ。大丈夫だ、ちゃんと湧いている。」

「てこと・・・大和、イースは生きてるんだな?」

志木の言うイースとは恐らく妖精のことなのだろうと西は一瞬で理解した。

「・・ということだな。で、早く汲まないのか?」

「ん?あ、一度帰還する。」

カチャリ。


何かの金属音が空洞の地下を響かせる。

「何のマネだ?また、そんなことをするのか?」

カチッ。大和はセーフティーのつまみを解除する。


「見たら分かるだろう?早乙女基地に要請する。火の里の再建協力をしてほしい。」

―やはりな・・・。という感想だけが西にはあった。志木はそれをただ眺めるだけ。




「撃てッ!本当にやれるならばな!この部屋がまるっと爆弾であることも考えてなッ!」

西は両手を大きく広げる。大和が撃つにしてもこの空間は危険過ぎる。つまり、全員の命が危険。


「良いんですよ・・・。私の目的は終戦。そして、かがくの世界とほうの世界を織り交ぜた、本当の人間のワンダーリアル

「ワンダーリアル・・・。」

西は呟いた。だが、気が付けば前にいた大和は後ろにいた。


「考えるのは眼前の敵を排除してからです。違いますか?西中尉。」

「今なら撃っても殺せるな・・・。」

頭に突きつけられた銃。このタイミングで撃たれれば流石に西も死ぬ。



「ですが、今は生かしておきます・・・。」

カツンカツン・・・・。


足音が空間を支配する。そして、それは徐々に小さくなる。

「待てッ!!」


志木は顔を顰め追いかける。だが、外に出ればホウキに跨る大和。

「何だよッ!あんたは何が目的だッ!どこへ行く!!」


だが、そんなことはお構いなしにホウキは宙に浮き始める。


「待てッ!!例え悪魔がお前を認めてもッ!!国民達が英雄と讃えてもッ!俺だけは!!仲間を殺したお前を死んでも許さないッ!お前を後悔させてやる!仲間をぶち殺したことをッ!!!」


大和は口をパクつかせ、そして上空の彼方へ消えていった。

「奴は何と?」


「エリア王国へ行って、この戦争の張本人 ’エリア国王 ブラッド・エリア国王’に会いに行くらしい。何が目的なのか・・・。」

現在の四国地方の真ん中に位置するらしい。


「追います?」

本当は直ぐ様追いかけたかった。だが・・・。


「一度基地へ戻ろう。宛も無くエリアへ行くのも問題だし、あんたのこともある。」

「・・・すまない。」


□■

早乙女基地 司令室。

「みすみす奴を逃してしまいました。」

西は大きく頭を下げた。

「構わんよ・・・ただ、彼は終戦を狙っているんだね?」

「・・・はい。」

頭をあげる西の代わりに志木が答える。


「西中尉、古来より終戦とはどういうことがある?」

「・・・絶対的な出来事?」


西にはそれの心当たりがあった。

恐ろしき兵器。人はそれを「核兵器」と呼び恐れた。


「つまり、それに匹敵するようなものがこの世界にも・・・?」

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