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大砲姫  作者: 阿波座泡介
デルガト半島動乱編
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デルガト攻略7

私は、アンジェラの操る四号ちゃんMSにデサント(便乗)してデルガト城内へと足を踏み入れた。


本隊の侵入後、安全の確保を確認してから私は最後にデルガトに入ったのだ。


戦闘の只中を勇ましく駆けるのは絵になるが実際的では無い。

戦闘能力皆無な上に、死んでしまうと後が厄介な私は、勝ち戦なら一番最後に、負け戦なら一番最初に動かなければならない。


とにかく、戦争が始まると、私の仕事は何もない。

安全な所で大人しくしているのが、一番大事な仕事だ。

戦闘が始まる前と戦闘が終わった後に、私の仕事がはじめる。



ユーイル榴弾砲によって、かつては牧草地であったろう草原に大穴があいている。

その大穴は一つでは無く、幾つもが数珠のように繋がって草原を横断していた。


私の乗る四号ちゃんは、その着弾孔に沿ってデルガト城の中央にある大聖堂を中心とした街デルガトブルグへと進んでいる。


所々に歩兵と四号ちゃんが留まって警戒しているが、特に抵抗らしい動きは無かった。

途中で、敵兵らしき姿を見た。

その男は、両手を頭の上で組んで膝立ち、平民兵が銃を向けている。


その他は、一度だけ銃声が響いた。


それが響いた瞬間、私はグレタに四号ちゃんの砲塔内に押し込まれたが。

銃声は遠く。

しかも、一度だけだった。


戦場らしき様子は、それくらいで、他は昔ながらの故郷だった。


実の所、十歳までのユリアナが知っている世界とは、王宮の中とこのデルガト城の中だけだったのだ。

その懐かしい風景の中で、自分が持ち込んだモビルスチームは、なんとも場違いであった。


「現実味が無いのぉ」

なんだか、1/1スケールのジオラマでも見ている感じだ。


戦乱の余波からなのか、街には人の姿は無く、辻ごとに鎮座する四号ちゃんMSの姿だけが目立つ。


「おうおう、待っていたんだな」

のんきな丸顔の騎士が辻に立って手を振っている。

「こっちなんだな」

丸顔の騎士--ライア・グロッケンの誘導で私が乗る四号ちゃんMSは辻を曲がり大きな館の玄関に寄せる。

数名の平民軍と四号ちゃんが二台で警備している。

「この悪魔!」

雄たけびを上げて、背中に樽を担いだ獣人兵が飛び出してきた。獣人兵の刀は血で濡れている。

「姫殿下を守れ!」

兵が私の前へと出て人垣をつくる。

その横を、丸顔の騎士が滑るように前へと飛び出す。

「邪魔だぁ!」

血塗られた刀を振り回す獣人兵。

刀を鞘に収めたままのライアが、獣人兵の横を通り過ぎる。

すると、獣人兵はつまずいた様に転んでしまう。

獣人兵の左足の膝の下が裂けている。

「くそっ」

獣人兵が背中の樽から伸びる紐を引こうとした。

「ダメなんだな」

その紐は一瞬光が走ると、切れていた。

ライアは転がった獣人兵を足で抑え、そこに兵が来て動きを止めた。

「くそっくそっくそっ。殺せぇ!」

うわあ『くっ殺』だよ。初めて聞いた。

「ライア、殺すなよ。もちろん、逃がしてもいかんぞ」

「おうおう」

私の指示に、丸顔の騎士は頭をカクカクと振って答えた。

「あの樽は、たぶん火薬じゃ。後で見分する」

「了解であります」

獣人を抑えている兵が了解した。

「姫様、こちらへ」

銃を持ったグレタのエスコートで、制圧された代官屋敷に入る。


この代官屋敷が、南部自治団の司令部だったらしい。


ちなみに、私の実家である『マウリス館』は、デルガトブルグから少し離れて建っている。

こちらは、手つかずであったとの報告があった。

お母様の遺品に少しでも異常があったら『犯人、殺すべし!』だったのだがな。


代官屋敷の中は……血生臭さかった。


予約掲載を使い、毎日昼の12時にアップするようにしています。


誤字報告を受け付ける設定にしました。


誤字脱字などございましたら、お知らせくだされば幸いです。

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