表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大砲姫  作者: 阿波座泡介
デルガト半島動乱編
92/98

デルガト攻略5

昨日、本作品が完結済みなっていましたが、作者の設定ミスです。

お騒がしました。まだ、続きます。

昼間の乱痴気騒ぎも収まり。

夜になると、カトチャ村も静けさが戻ってきた。

明日から作戦始動なんだから、ちゃんと休んでもらわないと困るのだ。

私は司令部の天幕にいる。

大きなテントに見える天幕は、布が二重になっていて、意外に快適である。


私は湯あみをすると言って、いつもより警備の兵を増やしながら天幕から少し離れて配置させた。

天幕内は、私と側使えだけとなる。

私の背を流すのはグレタ・ジェイ。

私の専属メイドにして、専属の諜報員だ。


とはいえ、私が入る風呂は、昼間の『ザ・露天風呂』と大違いのブリキの大バケツである。

なんか『これじゃない』と私の心の底でけものが吠えている。


分かっている。

兵に混ざって裸で露天風呂とかダメなのは、分かっている!

でもなあ。露天風呂……入りたかったなあ。


まあ、切り替えよう。

今は戦争の時間だ。


「で、デルガトの様子は?」


話が少々極秘事項になってきたので、グレタはわざと水の音を大きくした。


「内情は姫殿下の予想とおりでございます」

「やはりか……」


潜入した密偵からの報告によると。

平民軍が到着する前に、ガーデンキーパーは十数名をデルガトに南部流人として潜入させる事に成功していた。

デルガトに捕えられていた代官の救出も、彼らの仕事だ。

鏡を使った光モールスや伝書鳩など使って、デルガト内部との通信は確保されている。


その情報によるデルガト要塞内部の様子である。


食料・水は確保されている。

しかし、デルガト要塞に立て篭もった流人達は、大変に消耗していた。

それは、平民軍からの攻撃の効果だ。


まだ、平民軍からはデルガト要塞に向けて有効な砲撃は一発も無い。

しかし、他の方法で、私はデルガト要塞へ攻撃を続けている。


まずは、昼夜を問わずに断続的に行っているアンホ爆薬による発破だ。

この音と振動は、デルガト要塞の全域に響いている。

つまり、デルガトに住む者は、常に発破の轟音に脅かされて安眠もままならないのだ。

翻って、平民軍側は交代で休憩をカトチャ村まで下がってとっている。

カトチャまで来ると、発破の影響は無い。


この発破作業を妨害しようと兵を出してくるなら、それは平民軍の思う壺。

狭い街道を塞ぐように配置された四号ちゃんモビルスチームが出迎えることになる。


しかも、デルガトの南部自治団は、この発破作業をデルガトに対するトンネル攻撃の工事であると思っている。


トンネル攻撃は、地下に敵の防御施設を無効にするトンネルを掘る対籠城戦用の戦法だ。

そのトンネルの工事量は、トンネルから排出され積み上げれる瓦礫の量で推測される。

今回の工事では、排出された瓦礫はデルガトから見える海に投棄している。

すでに、瓦礫は大きな山となって海面から顔を出している。

見た目だけで判断すれば、デルガト要塞へは大きなトンネルが穿たれているはずだ。


じかし、実態は違う。


私が工事しているのは、四号ちゃんMSでデルガト城門を直接砲撃できる傾斜路にユーイル榴弾砲を設置する砲台場と、デルガト要塞を観測できる着弾観測所の工事だ。


そして、着弾観測所は、チャート岩山の山頂の一つに設置し。もうひとつの着弾観測所は、デルガトが見える海上埋立地に設置予定だ。

つまり、砲台場工事の瓦礫で埋め立てているのは着弾観測所をつくるためなのだ。

それゆえに、瓦礫を有効に使うために、水中に枠を組んでいる。

その為に、瓦礫の量に比して、海面から飛び出した観測所予定地の高さは高い。


何も知らない者が見れば、瓦礫の量は数倍以上に思えるだろう。



「籠城している民の多くは、発破の音に怯えておりますし、睡眠不足から体調を崩す者も増えているようです」

グレタからの報告に、私は満足して首肯する。

よしよし。これは敵戦力の削減には有効だな。

「奴らはトンネルを掘ろうとしていたか?」

「はい。黒色火薬も使っているようですが、難儀している様子です」


トンネル攻撃への有効な迎撃戦法の一つに、対抗トンネルがある。


攻撃側のトンネルを破壊するためのトンネルを守備側も掘削する戦法だ。

しかし、先に述べたがデルガトの地下は鉄より硬いチャートの岩盤である。普通の道具で穴が掘れる訳が無い。

こちらはアンホ爆薬を大量に使って、チャート岩盤を切り崩しているのだ。

あちらも火薬を使っているようだが、発破工法は専門知識が必要な特殊技能である。

デルガトに籠る南部自治団に、爆薬でチャート岩盤を砕く技能を持つものは、いないだろう。

まあ、私の憶測ではあるが。


とにかく、これで敵の注意はトンネル攻撃に誘導できた。


「獣人傭兵はいたか?」

「はい、確認しています」

「で、実際のところ、指揮を執っているのは誰じゃ?」

「獣人傭兵のようだ、との報告が」

やはりな。


ユーイル榴弾は手元にあり、砲台は完成した、四号ちゃん用の攻撃誘導路と壕も完成した。

着弾観測所も、すぐに用意できる。


「では、三号指揮車が到着しだいに攻撃準備を開始しようかな」

「承りました。」


予約掲載を使い、毎日昼の12時にアップするようにしています。


誤字報告を受け付ける設定にしました。


誤字脱字などございましたら、お知らせくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ