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大砲姫  作者: 阿波座泡介
デルガト半島動乱編
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踊る和平会議

会議は踊る、されど進まず。

有名な言葉だ。


領土領有問題を話し合いだけで解決しようとするのは、土台が無理な話だ。

領土問題は、相手が油断または行動出来ない時に武力を背景として解決するが良策。


武力の行使を忌避しない者だけが、領土問題を良く解決できる。

もちろん、実際に武力を行使する必要はない。

しかも、武力行使なしで得た領土はイメージがクリーンだ。

だが、武力行使を厭わない姿勢を明確に示す必要がある。



もちろん、私的な意見である。




さて、南部自治団との交渉は物別れに終わった。

予定の通りだ。


そもそも南部自治団が、これでアッサリ引き下がるのでは反乱を起こして領民を追い出した意味が無い。

しかし、本当に分離独立を目指すとすると、場所が悪い。

やるなら、辺境だろう。

ここはマウリスの中央で、しかも王家直轄領だ。

となると、南部自治団の目的は何だ?


やはり、時間稼ぎか?


だが、何の利がある?

援軍の様子はなさそうだ。



父である国王が病に伏せている。

王家の武力だけで問題を解決しなくてならない。

皇太子であるアロイス大兄上は、軍役中で自由に動けない。

であるならば、テオラス兄上が近衛を率いて戦うのが普通だ。

しかし、実際に国王から命が下ったのは末姫である私。



余談ではあるが、近年では王家は近衛を拡大している。

表向きを兵を増やしてはいないが、兵の入れ替えを数回にわたって行い、予備役を四倍にまで増やしている。

そして、予備の馬や装備も分散して配置し、分かりにくくしてはいるが大幅に増えている。

実質的は軍事力の拡大である。


この動きは、アルベルト先王より続くうごきである。


さて、おき。



私に対する王命を下したのがアドルフ父上で無い可能性が高い。

たぶん、ケーニヒス公爵が原案をつくりテオラス兄上が告示した。


しかも、デルガトで反乱を起こしたのは、ケーニヒス公爵が支配する南部地方出身の流人。


これは、スペンサー・ケーニヒス公爵がシナリオを書いた茶番だろう。


とは言え、酔狂で起こすにはシャレにならないシナリオだ。


ならば、その目的は何か?


「やはり、時間稼ぎじゃな」

私の唇から言葉が漏れた。


「時間稼ぎ、でございますか?」

お茶を淹れながらメイド姿のグレタ・ジェイが呟く。


「そうじゃ。今の状況はケーニヒス公爵に有利じゃからな」

「国王が倒れられた件でございますね」

「そして、アロイス大兄上が軍役で動けない。ここで国難がふりかかる」

「これをケーニヒス公爵が利用なさると?」

「もう利用しているぞ」

ここまで状況が整っては、アルベルト先王が倒れたのも、アドルフ現王が病に伏したのも、ケーニヒス公爵の謀の可能性が高いと思う。

そして、私が海軍大洋派を支持する中で、海軍沿岸派をケーニヒス家は抱き込んでいる。


このままでは、私とケーニヒスの間で国家が二つに分かれるかもしれない事態だ。


「ここが落ち着く前に。海軍で動きがあるはずじゃ」

「それでは……」

「アロイス大兄上と連絡を取りたい。こっそりとな」

「おまかせくださいね」

グレタは、私の前に淹れたての茶をおいた。

そして、その横には高級品である白い砂糖が入った瓶。

この砂糖こそが、ケーニヒスの力なのだ。

予約掲載を使い、毎日昼の12時にアップするようにしています。


誤字報告を受け付ける設定にしました。


誤字脱字などございましたら、お知らせくだされば幸いです。


報告がありました誤字は、本日修正いたしました。

ありがとうございました。

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