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大砲姫  作者: 阿波座泡介
デルガト半島動乱編
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和平交渉2

「出ていかねば、攻め滅ぼす」

私は交渉の場にふさわしいフレンドリーな笑顔で言い放った。

「……出来るならばやってごらんなさい」

南部自治団代表は、声を震わせながら言い返す。

うんうん、よく頑張っているよキミは。

「我は力押しで城門を押し破り、デルガトを奪還出来るのじゃぞ」

「出来はするでしょう。しかし、我らも姫殿下の私兵を擂り潰す準備をしていますぞ」

なるほど、防衛陣地は幾重にもあり、遅滞戦術の構えか? 

それは、後方に広大な国土がある国がとる戦法だ。

狭い土地でやっても、時間稼ぎはできても、玉砕一直線。


まてよ、時間稼ぎが目的か?

なぜだ?

援軍が来る?

そんなはずはない!

が、一応は用心しておこう。

いや、それとも……


「おやおや、玉砕して果てる道を選ぶのか? 生活が出来る場所を探していたのではないのか?」

「ここが我らの生活の場です! このデルガトを守るために我らは戦うのです!」

いやいや、ここは私の実家だし。

そっちが、勝手に押しかけてきて、祖国防衛みたいな事を言われても困るんだけどなあ。

根拠もなく、何故に自信満々に『ここは自分たちの土地だ』って言えるのかな。

解せん!

「我らが滅びる時は、このデルガトが滅びる時です。最後は大聖堂に立てこもり果てましょう」

そう言った南部自治団代表はニヤリと笑う。

おやおや、コレが切り札なのか?

「あいわかった。では、大聖堂の瓦礫をそちらの墓標に進呈しようぞ」

「なっ……大聖堂をテクニカルで破壊するとでも……そんな事が許されるはずが!」

あれ? 


今なんて言った。

『テクニカル』って言わなかったか?

いやいや、今は話をすすめないと。


「大聖堂が壊れるのは少しは困るな。修理には金もかかるでの」

「祭事が行えなくなるのですぞ!」

なるほど、彼らは私の婚約の儀を人質にとったつもりか。

「祭事はのお、建物で行うのではないぞ。人々の心で行うのだ」

「……なにを」

「不法な逆賊を撃ち滅ぼし、瓦礫の中で執り行う我の婚約の儀を、人々が祝う光景が目に浮かぶようじゃ」

わざとウットリ陶酔するような表情をつくり。

「絵になるとは思わんか? よし、宮廷画家を連れてくるかのぉ」

「……本気で……狂っている」

なんだと、無礼な奴だ!

プンスカ!

「大聖堂の瓦礫を墓標と決めたのではないのか? 強がりのハッタリならば、許さんぞ」

「……ぐっ」

代表が小声でうめく。

おお、いいなあ。

心が折れそうだな。

では、もう一押しだな。

「とは言え、我も悪戯に廃墟をつくりたい訳ではないのでな。少しは工夫をしようと思っておるぞ」

代表は、私の言葉に意識を集中させている。

私が、どう攻めるつもりかを図っているのだろう。

情報は与えてやるさ。

せいぜい踊るがいい。

我が手のひらでなあ。


あれ? 私の方が悪役っぽくないか?

まあ、いいか。

このままでいこう。

「我が軍団には、ガルムント鉱山で働いていた者が多くおる。その意味がわかるか?」

私の言葉を聞いた代表の口元がゆるむ。

「やってごらんなさい」

まるで、私の失言から言質を取ることに成功したように笑い。

「この土地を自らの物と言いながら、あなたは何も分かってはいない。この土地が、あなたの慢心を裁く事になりましょう」


はい、フラグいただきました。

ありがとうございます!


予約掲載を使い、毎日昼の12時にアップするようにしています。


誤字報告を受け付ける設定にしました。


誤字脱字などございましたら、お知らせくだされば幸いです。

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