四号ちゃん やられる
カペラ・スコット伍長が新型モビルスチーム(戦車)の狭い車内に身をすべり込ませた。
小さな車体から突き出した煙突から煙が噴き出し、キャタピラの間から蒸気が噴き出す。
春節の宴で使用したMS01型からモビルスチーム(戦車)も進化を遂げた。
夏には改良型のMS02・MS03を制作し、現在の平民軍が使用しているものはMS04である。
愛称は『四号ちゃん』だ。
これは決定である、覆らない。
兵たちにも好評なようで、なによりだ。
この四号ちゃんは近代戦車の基本レイアウトを持っている。
見た目は『後方に蒸気ボイラーを積んだルノーFT17』と思ってもらうとよい。
ルノーFT17が分からない者はガルパン最終章を見るように!
しかも、ボイラーは新型のガス化燃焼式石炭ボイラーで、高効率化と小型化に成功した。
ただし、小型軽量化のつけで装甲が薄い。
弓や拳銃弾くらいなら十分に防ぐが、据え置き型機械弓の大型金属矢を防ぐには装甲が足りない。
カペラが乗るモビルスチームには即席追加装甲として予備の履帯と土嚢を積んでいる。
あくまで、気休めである。
足回りの負荷を考えると、無い方が良いのだが……
ヨタヨタと前進してゆくカペラ四号ちゃんは、デルガト城城門正面につける。
城門前広場から城門を見ると、四号ちゃんがやっと通れるくらいの細い上り坂になっている。
けっこう急な上り坂で、広場からは直接城門を見ることができないようだ。
カペラ四号ちゃんは城門を砲撃しようと、砲身を上げようとしていた。
ガキッ!
と、金属がぶつかる音が響く。
見ると追加装甲の土嚢に大型矢が突き刺さっている。
「射撃か早いのぉ」
エイムが異様に早くないか?
エイムとは、敵発見から照準完了までの時間である。
ドン!
と、カペラ四号ちゃんの主砲が火を噴く。
放たれた砲弾は徹甲弾である。
残念ながら、坂道を削るだけだった。
位置を調整して再度射撃しようとするカペラ四号ちゃん。
だが、そこに2本の大型矢が刺さる。
一本は、追加装甲の無い所に刺さったが、主要部分では無いのでカペラ四号ちゃんは射撃を続行。
カペラ四号ちゃんの第二射は坂を抜けたが、城門の上を通りすぎて後方に着弾した。
城内の様子から、特に被害は無い様子だ。
あれ? 城壁に砲弾が当たらない?
すると、城側から次の大型矢が飛んできた。
それは、カペラ四号ちゃんの横の地面に突き刺さったのだが。矢には大きな膨らみがあり導火線と思われる縄には火が付いている。
「いかん、火煎矢じゃ。カペラを後退させろ!」
私が叫ぶと、地面に刺さった矢が爆発し、カペラ四号ちゃんはキャタピラを損傷した。
そこに、また導火線付き矢が増加装甲につきささる。
カペラ他一名は四号ちゃんを放棄して走って後方に逃げる。
追加装甲もろとも矢が爆発して、四号ちゃんはやられた。
合掌。
「申し訳ございません。戦果も無く逃げ戻りました」
軍人礼をして報告するカペラ・スコット伍長。
「無事でなによりじゃ。報告は後で聞くゆえ撤退するぞ」
私たちは、警戒の兵を残して撤退した。
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