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大砲姫  作者: 阿波座泡介
デルガト半島動乱編
81/98

威力偵察

水門の町フォロスダムからデルガトまでは馬車で半日の距離となる。

道のりは、崖と海に挟まれた街道が一本だけ。

途中に小さな漁村が一つあり、そこには平民軍の中継基地をつくる予定だったが、土地が狭いので、浜に天幕の設営を命じて終わりとなった。

しかも、港は手漕ぎの小舟しか使えない小さな遠浅の浜である。

これは、兵站が厳しそうだ。

救いは、砲艦リフォーマーと砲載艇がいるので海からの攻撃を心配しなくて良い事くらい。

デルガトには大型船も入れる港があるが、流民による動乱があると、すぐに大型船は逃げ出して、今は漁船と教会の儀式船くらいしか残ってはいないらしい。

このデルガト湾も、新兵器での封鎖が進んでいるはずだ。


さて、中継基地の構築はガードルート中尉に任せて、私は少数の兵を率いて威力偵察へと向かう。

威力偵察とは、ある程度の兵力を持った偵察部隊によって行う偵察の一種。あえて、敵を攻撃をして反応を見る事で、通常の偵察より多くの情報を得ようとする事だ。

もちろん、小規模とは言え交戦を行うので危険はある。


私と偵察部隊は山と海に挟まれた細い道を進む。

一時間ほど進むとデルガト城の城門が見えてきた。

デルガト城の城門を一言で表すと、狭い地形を利用した固い城である。

城門前の馬出は岩山と海と城門に挟まれた狭い土地だけ。

しかも、その狭い馬出には大型金属矢によって破壊された新型MSが各座している。

「据付機械弓か!」

私が思わず前に出ようとしたら。

「姫様。あぶのうございますよ」

と、言葉は丁重だがルイス・スミス伍長に子供のようにヒョイと持ち上げられしまう。

いや、小さい子供じゃないんだから……背は確かに低いけど……

「ルイス伍長。我は戦場を確認したいのじゃが」

「ここは最前線でございますよ。姫様は、ご安全な処にお願いいたします」

「安全を優先しては、迅速な作戦行動はとれんぞ」

「姫様の安全が気になって兵が動けません」

それもそうか。

「うむ悪かった。すぐに下がるで、もう少しだけ見せてくれ」

と言いながら、ルイス伍長を屈ませるとスルリと背にまたがった。

「あの……姫様?」

「ほれ、立たんか。我は背が低いでのぉ。遠くまで良く見えんのじゃ」

ルイス伍長は女性にしては背が高い。

肩車をされると、私の目線はかなり高くなる。

「では、ご無礼つかまつります」

「うむ、苦しゅうないぞ」

と、バカ殿プレイも面白い。

しかし、背の低い私が背の高いルイス伍長に肩車されて、モビルスチーム(戦車)の横に立つと……なんだかアレみたいだな。


「一両前にだせ。敵の出方を見てみたい」

私の言の小柄な女性兵士が前に出て。

「では、自分がまいります」

と軍人礼をする。

ルイス伍長の相棒のカペラ・スコット伍長であった。

「モビルスチームは捨てても構わん。こんな事で兵を損ないたくはないでな」

「逃げるのは得意であります」

カペラ伍長は笑った。


予約掲載で、毎日昼12時にアップするようにしています。


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