水門の街 フォロスダム
ユーイルから出発して八日目で平民軍ことユリアナ私兵団はデルガト半島に近い小都市である水門の街フォロスダムに着いた。
予想の通りに。砲艦リフォーマー組が先に到着して平民軍をおろして、そのままデルガト港の封鎖に新兵器を積んだまま出港した。
おろされた平民軍はフォロスダムでの拠点構築とデルガト城門の偵察を進めている。
仕事熱心でいいねえ。
ところで、ユリアナ私兵団と名乗ってはいるが、我が平民軍派遣部隊の総数は二千人。
本来なら旅団なのだが……。
まあ、異世界だしイイか!
フォロスダム郊外の牧草地の一角を借りて野営地を構築する平民軍。
私は、指揮官なのでフォロスダムの市長に挨拶に行こうとしたら。
「フォロスダム市長の先触れが参られました」
と、当番兵が告げる。
おお、仕事してるじゃねえか、フォロスダム市長!
で、市長が来訪し簡単に打ち合わせと情報交換をした。
デルガトを占領して王家家臣団を捕らえているのは南部からの流人の集団。
要求は南部流人による自治独立を要求している。
いわゆる、乗っ取りの上での領地簒奪だ。
奴らは『南部難民による自治運動の団』と名乗っている。
略して『南部自治団』としよう。
ちなみに、家臣団は代官を残して解放されたらしいが、何やら強制労働をさせられたらしい。代官の身柄は引き続き拘束されて人質あつかいとの事。
これは、先に潜入させた密偵に救出ミッションを出すべきか?
悩む。
実は、デルガト出兵の前に、マウリスの密偵機関『パニア』とセリア王国密偵機関『ガーデンキーパー』にデルガトへの潜入偵察を依頼した。
ガーデンキーパーの方は、グレタ・ジェイが使える数名を直ぐに動かしており、すでにデルガトに潜入している。
ところが、我が国の密偵である『パニア』の動きが鈍い。
父である国王が倒れたとの報を受けてすぐにミランダ・パニアを王都に向かわせたのだが、その後音信不通となる。
直接パニア家に密偵派遣の要請を出したが、こちらも返信がない。
どうも、以後はパニアを頼れない様子。
ガーデンキーパーが使えてよかった。
と言うか、王都はどうなっているんだ?
さておき。
故郷から追放された南部流人たちに同情しなくもないが、これを認めると国家は無法地帯になる。絶対に認められない。
そんな打ち合わせが終わって、仮設司令部の天幕に帰ると何やら騒がしい。
ガードルート中尉が、私の前に来て敬礼をし。
「報告します」
「許可する」
「デルガト要塞正面を強行偵察しておりました部隊が、敵の弓攻撃に撃ち負け、敗走しました」
「なにぃ!」
私は思わず叫んでいた。
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