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リハビリ ラブ  作者: 黒田 容子
リハビリ ラブ  -シオリside
5/24

慣れない事をしてますけど、なにか?

あの電話から、何事もなかったかのように 翌日を迎えた。

そして、無情にも流れてくる依頼書のFAXに埋もれながら、そのまま10日ぐらいを過ごした。


「来週の中頃には 落ち着くから。」と大林くん に 例のビリヤードの場所として指定された店は なんと 私の自宅の隣駅から少し歩く位置だった。

古いアミューズメントホールの玄関、20:00 待ち合わせ


ここって、みるからに老朽化して ネオンも 疲れてるから 今まで 完全にスルーしてた

磨いても落ちないだろう曇った窓ガラスから見える お酒のビンたち。

バー、が 確かにありそうな気はしてた。

だからって、ここで 自分の会社のお客さんが遊んでいたなんて、ちょっと 意外。

世間って狭いなって思う。




今回、別段、特別な事な気もしなかったから、課長にも営業にも言わなかった

毎晩、一人で受発注のやりとりしてたんだもの、関与してこない奴が悪いとおもって。


時間にほぼ丁度の頃、大林くんが現れた。

「じゃあいこうか」

おぼろ気な記憶通り、「イケメン」と呼ばれるだろう人々の特徴を備えてる。

このとき初めて、お化粧も 何時もどおりぐらいだった事を思い出した。

まぁ、今からお化粧直しっていったって、ポーチの中身自体が 必要最小限だし。

そういう意味じゃ、私って 営業はもちろん 合コンとか むいてないかも

いっか、別に。


暗がりの店内に差し込む賑やかな照明とゲーム機の効果音をかき分けながら 二人で ビリヤード台となりのバーカウンターに進んでいった。


「久しぶりだねえ」

いらっしゃい、と マスターとおぼしき人が 手をあげてくれる。

大林くんが 「いつもの」といいながら 椅子に座るよう、私を促す。

本当に行きつけなんだ。


マスターが 私へ 「ようこそ」ニッコリ会釈しながら、大林君と会話を続けた。

「この前、クマ吉が 今の上司とその奥さん連れてきたよ」

クマ吉。共通の知り合いかな。多分そうなんだろう、「へえ」と大林君が答えながら 「ジャケット 掛けなよ」ハンガーを渡してくれた。

私が会話に入れないながらも、一連の動作みたいなスマートさのある気遣い。さりげない感じが 「(そういえば 仕事中も そういう気遣い出来る人だったなあ)」と 思い返させる。

絶妙なタイミングで「飲みたいモノがあるといいんだけど」おしぼりとメニューが回ってきた。



初めてみるバーのドリンクメニューは、ちょっと 固まってしまった。

居酒屋よりも ザックリだけど すっごい量が多いかも。

文字ばっかりで 写真がない。全然 イメージがわかないわ。…思わず 面食らってしまう。

途方にくれかけた時だった。

「折角だから、アバウトに『こんなのが飲みたい』相談で作ってもらうことも出来るよ」

大林くんの一言助け舟。


…バーとか 来たことがない私には、有難い… 恥かかなくて済みそう。よかった。

巧いエスコートに甘えることとして、メニューを見つつ。

私は、「(お気軽に ご注文をどうぞ)」待ち構えてる気がするマスターの視線から 安全にフェードアウトできた。



飲むなら、甘いリキュールベースがいいな、そんな事を考えている最中も、マスターと大林くんは、ぽつぽつと会話を続けている

「柏木さん、だっけ? あの人も ビリヤード巧いね、なんか クマ吉と楽しそうにやってたよ」

「へえ。柏木さんもやるんだ」


にやっ と 控えめに笑いながら話す大林くんの横顔。

ずーっと自然体で 無駄に笑うことも、話すこともないけど。

ゆっくりとした深い息の合間に笑っているのが分かる。


大林くんって、何歳だっけ?あ、そもそも 聞いたこと無かったわ

年下だとは思うんだけど、雰囲気に落ち着きがある割には、童顔なんだよね。

そもそも 今日は2回目に会うから、前回のイメージ自体が曖昧だった。

「(そうそう、こんな人だった気がした)」程度から まじまじと見ると、思いの外 幼い顔をしている


「どんな感じなのが飲みたい?」

ぼーっと 大林くんを見ていただけだった私に、マスターが「おーい」と言わんばかりに 声を掛けてきたところで、ようやく我に帰ったのであった…



久しぶりに男の人と一緒って シュチエーション

慣れないことをやると なんか 調子狂うわね、あはは


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