600番高橋の憂鬱 -another story
とあるパート社員 高橋さん視点のとある1日の1コマ。別名「リン兄観察日記」
どぅも~、初めまして!
高橋と言いま~す、ヨロシクね
蕃昌さんとか リン兄こと大林さんと同じ倉庫で働いていまーす
ポジ的には パート社員たちの総リーダーやってまーす。
いつもね、アタシともう一人若い男の子とで 100人くらいのパートさんのお仕事をチェックしてるわ
物流センターって、キツくて汗臭くて ガラ悪い~とか思ってる??
違うのよ~、この頃の倉庫って。
仕事は、細かいし、速くて正確、そして丁寧な仕上がりが求められるの。
物流業界だからって 男らしさがよろこばれるってワケじゃないの。
派遣会社さんからは、倉庫系男子って言葉があるくらい 世間のイメージとは 違うのよ
だから、ワタシみたいな通称「オネエ」は 重宝されちゃうの。
パワーあって、細かく丁寧なお仕事出来ちゃうんだもん、うふふん
オトコも多く働いているから、出会いは多いわね
…まあ、恋が成就しそうな試しはないけどね…
アタシの推しメンは、「武藤のオヤジさん」っていう、ここの一番エラいOBよ
今は天下りモドキして違うところで働いてるけど…もぅ話の分かるちょいワルオヤジって感じ~
細かい事はクヨクヨしなくってね、いつもカラッとした気風がもー素敵なの。
え?なに?
脇役のオヤジなんか興味ないって?
分かったわよ!
番昌さんのダーリンか、リン兄か、本社に連れて行かれたまま帰ってこないクマ吉でいつも悩ましいのよね~とでも、リップサービスしておくわっ!!
そうそう。もーねー
ちょっと聞いてよ。
最近、周りのイイ男がバタバタ色気付いて来たの。
一番分かりやすいのがリン兄。
もーなーにー?あの変わり様。
リン兄って、元々マメ男だったけど、あそこまでじゃなかったのよねー
興味のない事には、気もソゾロだったのよ?
それが、制汗スプレーの銘柄に興味持ち始めたり、時計とネクタイにこだわり始めたりさ~
ビミョーに髪型もスタイリングし始めてきたし。
てゆーか、車通勤のリン兄がなんでR25とか東京メトロニュースとか、駅でしか配布されてないフリーペーパーを昼休みによく読んでるのよ?
ただのマメ男がシャレ男になってきたわね
絶対オカシイわ
あれは、オンナが出来たわね??
オネエの目は誤魔化せないわよ
もー、馬に蹴られてもいいからオジャマしてやろうかしらっ!
だからアタシ、この前言ってやったの。
「リン兄、明日金曜日で悪いんだけど… 定時で帰ってイイ?」
アタシが残業出来ないとリン兄は自動的に御残り確定になるの。ザマアミロしちゃおうかしらっ!!
そしたらなんて言ったと思う?
「淳、坊主割りの日か?」
違うわよ!
坊主割りは来週よっ!
それと、何で坊主割りの日知ってるのよっ!
あ、坊主割りっていうのはね?
アタシの行き着けのクラブがね、ボウズ頭だと割引してくれるの。
ここは、知る人ぞ知るノンケ非歓迎のクラブ。この日は、特に出会いを求めて皆いっぱい来るってワケなの。
出逢いよ、出逢いのチャンス!!
「いいよ。俺も定時で帰りたい日、あるから。」
リン兄、その笑顔…なによー
もー、自分は幸せだからってぇ??
もー、いやーん
アタシだって恋したいわよーっ!!
アタシを受け入れてくれる素敵な子、どっかにいないのー??
「高橋さ~ん! ちょっと来てください」
あら、呼ばれちゃった
え?なに? 軍手が汚れてるのを気にしないで商品触ったから、ガッツリ汚れてるって??
「ああん? 知らねえよ。自分でダメージ報告させろ。何回目だっつうんだ?」
あっ、いけなーい。美しくない言葉遣いが出ちゃった~
みんな、今のは適宜適切に忘れてくださいネ、ヨロシク!
「淳」
リン兄がワタシを呼ぶ。
「来週の金も、いいよ。定時で帰っていい。」
「帰ってイイのぉ?!」
キャー リン兄素敵ぃ!!
「そのかわり、来月の棚卸し。差異出たら俺に昼飯な?」
昼じゃなくて夜でも良くってよ!それより、あたし自身でも良くてよ~っ!!
まあ、リン兄が真っ直ぐ帰るようになったから、きっとソレは無いんだろうけど。
ちょっぴり最近優しくなって それと、明るく振る舞おうとするリン兄は、やっぱり恋する変わりゆくオトコなんでしょうねえ~
あーんもう!!
あたしも、もう少しダーリンが欲しいぃ~