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リハビリ ラブ  作者: 黒田 容子
リハビリ ラブ  -シオリside
2/24

冷め切った女の心

ある日のお昼過ぎ

営業のフロアがざわめきたった

社内メールで回った回覧が原因っぽい


…ウチの大口客先が グループ内統合により 取引減少表明、だって

あちゃー 大痛手ね

しかも 吸収する側でなく 吸収される負け組。望み薄い…かな、こりゃ


「来週、統合を経ての新しい責任者が 分かるらしい」

担当の営業が 「ぜひ 後任に会わせてください」って 必死に電話の相手に訴えてる。

そりゃ、必死にもなるわよね。この、ただでさえ不景気の中ですもの。部署の存続が掛かってるからなあ


噂の後任は、程なくして名前がわかった

しかも ご丁寧に 挨拶に来るって

客が自ら訪ねてくるなって、珍しいわよね。




たまたま 外の自動販売機へ コーヒーを買いに行った時、それと思しき二人とエレベーターに乗り合わせた。

入館のバッチを付けている男二人組

行き先と訪問時間からいって たぶん そう。

「旧担当者と新担当者」

なんか 冴えない中年男と ラフにスーツを着こなしている若い男。

その取り合わせにビックリした


冴えない担当が旧。

若い男が新。

インターフォンを取り次いだ総務の女の子たちが 「最新のアタリ男子」「メガネイケメン」と、キャーキャー言ってる

ふーん、あれがカッコいいっていうんだ。


めっきり「オトコ」がご無沙汰になった私には、別段何の感傷も浮かばなかった。

普段、バラエティ番組なんて どこが楽しいか分からないから 見ないし、恋愛なんて、4年ぐらいしてない

オトコなんて、ここ数年 興味自体持ったことない

「人気俳優」とか「カレ」なんて言葉にもときめかない

すべてがふーん、って感じ



頼まなきゃ入れてくれないお茶が今日は早くも入れられてる。

美男子は、女子の目の色が変わる。

オンナって、めんどくさいわね


たかだか アポイントの来客1回で どうこうなれるわけじゃないのに…バッカみたい



そうはいってもね

一応 お客さんだし 馬鹿馬鹿しいけど もう一度 見に行ってきた


物陰からみた「新担当者」とやらは

背が高くて がっしりした痩せ型。肌は色白で、緩い7:3 

通った鼻筋、鼻は少し大きめ。小鼻が少し目立って ちと残念くらいなもので、額は小さめ。形は いいかも

髪質はネコっ毛。髭は濃くない。むしろ、ツルツル

特徴は メガネかしら? 細いスクエア型のオシャレインテリっぽいデザイン

アタマ良さそうに見える。


よし、覚えた


もう。はい、用はないわね。

ふーん、あれが 今で言うイケメンなんだ。

まあ、整ってるっちゃー整ってるわよね

ふーん



「牧瀬君」

課長に呼ばれて振り返った。ちょっと、不躾にガン見しちゃったかしら。大丈夫よね?

「この名刺の会社宛に、発注依頼書のテンプレートを送っておいて~」


名刺を受け取り、当たり障りのない文面でメールの文末を締めくくり…私は送信ボタンを押した。


さーて ちょちょいのちょい。と。

パソコン右下の時計は もう、12:00過ぎている。

今日は ちょっとずらしてご飯ね。

ちょっと閑散としたフロアを見ながら、どこでランチにしようか 電気のついてない天井を見上げた。


もう、さっきの「イケメン」とやらは 忘れてた

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