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リハビリ ラブ  作者: 黒田 容子
リハビリ ラブ  -タカノリside
18/24

明るい日とかいて 明日

「おスケベ、と来たか」

思い出すたびに 顔がニヤけてまう

我ながら、しまりのない顔ばかりしている。

が、今夜ぐらいはいいだろう



さっき 話の流れの中で 詩織に告白し、初めてのキスを果たした

そして 止む得ない事情に任せて 詩織を家に連れて帰る


詩織の家は 三年来通い続けた店の近くだった

こんなところに 久しぶりの恋愛相手が住んでいたとは。



外は 霧雨に近い雨が 視界を遮っている

帰りの車の中 程よく 場が和んできた頃、気分的に ラジオを掛け流しながら 聞いてみた

「…驚いた?」

彼女としては 突然だったはずの俺の告白

「うん」

確かにそうだろう。

「そんな素振り、分からなかった」

それが 自然な感想だと思う

男として 意識されてなかったのも あるだろうから、な


それを、察した上で ひとつ 暴露話をした

「マスターは 俺が意識する前から 分かってたみたいだ」

ふふ、と笑って 彼女をみやると 「やだ、うそー」その驚く顔を見届けられた

起伏が少ない彼女から 感情が引き出せてる。小さい優越感に浸りながら 運転に戻った


「はあ、恥ずかしいかも」

小さい苦い息が聞こえた。…そう 気にすることはない。俺もまた ポーカーフェイスに 顔へ出さないタイプだからね

「まあ、その辺は みんな大人だから」

便利な言葉だ、と思いつつ 左手を 彼女へ預けた

「そろそろ着くよ」



まずは 一緒にいられる

その先を 急いで進めたい気持ちだってあるけど、欲張らなくても しばらくは 彼女とは 一緒にいられる



「俺、明日 代休で休みだから 職場まで 送るよ」

「助かるな~ 夜だから 全然 道とか覚えられなかったし」

たわいもない 日常に近い会話が 既に出来る

「なあ、いっそのこと 休めないのか?

俺、詩織の会社宛の依頼書は 出しきってる。お前、明日は 多分 ヒマだせ?」

ニヤっと笑うと 詩織も 笑った

「あー それもアリかも。 サボッちゃいたいなあ… 」

笑うと 左側に八重歯がチラリと見えるのに気が付いたのは、最近だ。

「何だよ、歯切れ悪いな。

まあ ウチ以外にも 客は いるだろうから 難しいか…」

こうやって 互いを更に知り合って 付き合いがもっと深くなっていくのだろう、恋愛って。

「そうなんだよね、午前中だけ出社して 音沙汰なかったら帰ろうかなあ」

不動産屋に さっさと見てほしいし。

話を続ける彼女へ 手を差しのべ 降りるよう 促した


傘を刺そうかと思った先程までだったが。

俺たちに 大事な潤いを思い出させた雨は もう 止んでいて。

雲の切れ間からは 星と月が 真新しく光っていた


「早く寝よう」

全て 新しい明日から始められるのだから


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