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ある雨の日のこと
どんよりとした雲からポツポツと降り出した雨の中、軽く整備された道をトボトボと歩く小さな人影が一つ。雨粒をしのぐ手段もなく、ただ濡れるまま目の前の森へと入った。
――森の中なら少しは雨がしのげるだろう――
そう考えて森へ入ってみたものの、すでに濡れてしまった上着が乾くわけでもなく、火がおこせるわけでもなく、しかし立ち止まることも出来ず、途方に暮れて歩き続けた。寒さと空腹を我慢しつつ、森の中をひたすらに歩き続けた。
歩き続けて、ふと、顔をあげて見たその先に、ぼんやりと灯りが見えた。よくよく見ると、どうやら一軒家のようだ。歩く足が早足になる。しかし歩き続けたその足は思うように速くならず、絡まりそうになり、転びそうになりながら、その一軒家に辿り着いた。
はあはあと呼吸は乱れ、よく見れば、衣服はボロボロの泥だらけになっていた。少し心を落ち着かせ、どうにか助けてもらおうと扉を叩いた。
誰が住んでいるのか? 何が出てくるのか? この時は空腹と疲れで、何も考えられなかった。




