↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢版】部長と私の秘め事  作者: 臣 桜
作戦会議

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/810

悪巧み

「……まぁ、少し考えたら分かりますよね。怜香さんは自分の息子のために〝いい相手〟を用意しようとした。そして気に食わない秘書さんは、どうでもいい継子に宛がおうとしたのでしょうね」


 わああ……。この人もかなりズバズバ言うタイプだ。


 そう思うと、なんだか清々しい気持ちになってきた。


 エミリさんも春日さんも近寄りがたい〝綺麗な女性〟だけど、篠宮家やら三ノ宮家やらに関わるだけの胆力がある。


 そんな彼女たちが、守られるだけのか弱い女性であるはずがない。


 そして、思っていたより春日さんが強い人な上、話の分かりそうな人だと理解し、ホッとする自分もいた。


 セレブって普段どういう生活をして、何を考えているか分からなくて、「話が合わなかったらどうしよう」と不安だったからだ。


(でも、尊さんとエミリさんはこんな言われ方をして、どう思っているんだろう?)


 そう思ってチラッと二人を見ると、苦笑いしていたけれど、特に怒っていないようだった。


 ――と、春日さんがニコッと笑った。


「きつい言い方をしてごめんなさい。でもあなた達にとっては事実でしょう?」


「その通りだから構わない」


 尊さんはニヤッと笑い、椅子の背もたれに背中を預ける。


「私は風磨さんとエミリさんの仲を壊すつもりはありません。篠宮家の事情を知った私は、すぐ『この縁談は怜香さんの一存で決まった事だ』と悟りました。恐らく、風磨さんご本人も困っているのでは……と」


 理想的なほどに理解を示してもらえ、私は安堵した。


 その時、春日さんが喰えない笑みを浮かべて言った。


「本来なら風磨さんが『結婚するつもりはない』と言えば済むはず。でもあなた達は役者を揃えて私に何かを伝えようとしている。……この面子から、恐らく気に食わない母親へ仕返しが目的……、という解釈でいいですか?」


 この人、話が早いなぁ……!


「三ノ宮さんはそれを聞いてどう思った? 巻き込まれたくない? なら、ここで終わりにしてもいい」


 尊さんが試すような言い方をする。


 春日さんはその言葉を聞いただけで、尊さんがどんな性格なのか、首謀者が誰なのか察したようだった。


「まさか! こんな面白そうなイベントを逃したら勿体ないです」


 春日さんは明るく笑って、とんでもない事を言った。面白そうなイベントって……。


 そのあと彼女は目に冷淡な光を宿して言う。


「正直、こんなあってないような縁談、持ち込まれるだけ時間の無駄です。私は実家の会社でバリバリ働いていますが、タイム・イズ・マネーと思っています。ですから、無駄な事をする人って本当に嫌いなんです」


 おお……、三ノ宮グループでビシバシ働いてるのか。それはカッコイイ。


 私の中で彼女のイメージが、清楚で守ってあげたくなるようなお嬢様から、地に足をつけたキャリアウーマンへとどんどん変わっていく。


「私は人の時間を奪っても平然としている怜香さんに腹を立てています。私が彼女に文句を言っても、表向き殊勝に謝りつつも『小娘が何を言っている』と思われて終わりでしょう。大人になっても自己中心的な事をする方って、よほどの事がない限り性格や考え方を改めません。……風磨さんのお母様を悪く言って申し訳ないですけど」


 ビシッと言い切る彼女は潔く、格好いい。


「いえ、構いません。母に対する認識は、僕もまったく同じです」


 風磨さんは諦念の籠もった表情で言うと、春日さんは深い笑みを湛えて言った。


「法に触れない事なら協力します。私、〝分かっていない〟人に〝分からせる〟のって大好きなんです」


 うん、笑顔が恐い!


 きっと尊さんは心の中で「こえー女」と呟いてるに違いない。


 分かります。私もこの人だけは敵に回したくない。


「話が早くて良かった。多少迷惑を掛けてしまうが、協力を頼みたい。……で、何か望むものは? あなたほどの女性が、無償で協力するとは思えない」


 尊さんに尋ねられ、春日さんはしばし考える。


「特に今は思い当たりませんが……。そうですね、ビジネス的な話を思いついたら、あとでご連絡します。今はとりあえず……」


 微笑んだ彼女は、私とエミリさんを順番に指さした。


「はい?」


「私ですか?」


 私と彼女は自分を指さし、目を瞬かせる。


 すると春日さんは頷いて笑みを深めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。