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【全年齢版】部長と私の秘め事  作者: 臣 桜
第三回女子会

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人は似たもん同士でつるむ

「私はお父さんの事があって闇堕ちしてた時、そういうエネルギーが自分に向いちゃったかな」


「まぁ、自分を責めてしまう人って、鬱になりやすいって言うしね。ある意味、なんでも他人のせいにしちゃうあいつらは、神経が図太いんだろうね」


 恵は食べ終わったプリンの器をテーブルに置くと、ニカッと笑った。


「ま、人は似たもん同士でつるむっていうし、私らは私らで楽しくやろ? 住む世界が違う人の事を気にしてもしょうがないし」


「そうだね。今夜、焼き肉に癒してもらおうっと……」


「あー、〝彼〟が気の毒だわ。普通なら彼氏の愛に包まれたいって言うだろうけど、朱里は肉ファーストだもんなぁ」


「〝彼〟は肉好きな私ごと愛してくれてるから、いいんだよ~」


「お、言うようになったな」


 恵と話して笑い合っていると、鬱屈とした気持ちが少し晴れた。




**




 そして午後の仕事になるべく集中したあと、とうとうあの三人と対面する事になった。


 場所は会議室で、私と尊さんの他にも風磨さん、総務部部長やその他役員も同席する。


「朱里、先に言っておくけど、彼女たちはもっと重い処分になると思う」


「えっ?」


 会議室に向かう前、プライベートモードの尊さんに言われて私は声を漏らす。


「どうして……」


 目を瞬かせると、尊さんは胸ポケットからボイスレコーダーを出して軽く振る。


「昼間、また何か言われてたんだろ? その証拠」


「あー……」


 脳裏に浮かんだのは、彼女たちの側に座っていた紗綾ちゃんだ。


 彼女は他の社員と一緒に食事をとっていたけれど、もしかしたらわざと近くに座って会話を録音していたのかもしれない。


 紗綾ちゃんは彼女たちの事を、他人に仕事を押しつけると迷惑がっていたし、他のまともな社員も同じように思っている可能性はある。


 だから仲のいい同僚を誘ってカモフラージュにし、録音していた……とも考えられる。


「最初は島流しで済ませようと思っていたけど、処分が決まったあとも大勢の前で朱里を悪く言っているようじゃ、反省していると思えない。再三、総務部部長から注意され、俺からも処分と共に反省するように言ったのに、あの態度はない。総務部の社員、朱里への業務妨害にも当たるし、職務規律違反にも当たる。あと…………」


 最後に尊さんはそう付け加え、大きな溜め息をつく。


「……今さら何を言われても驚きませんよ」


 私が言うと、彼は視線を落とす。


「掲示板等への書き込みも見つけた。まだ情報開示請求はしていないが、今日彼女たちが書いたものか確認する事はできる。正直に言って謝罪するならよし、場合によっては名誉毀損罪、侮辱罪として刑事告訴する事が可能だし、損害賠償を請求する事もできる」


「はー……。……まぁ、あるだろうなとは思ってましたけどね」


 直接嫌な事を言われたし、あれと同等の事が書かれていると思えば、大したダメージではない。


 汚い言葉も、直接見ないなら傷付かないし。


「……冷たい事を言うかもしれませんが、私、彼女たちと仲がいい訳じゃないですし、大して面識もないのに一方的に噛み付かれてる状態です。彼女たちがいると総務部の空気も悪くなるなら、辞めてもらっても全然……です。あと、元総務部だった綾子さん……、牧原さんも被害を受けていたようなので、ヒアリングしたほうがいいと思います」


「分かった。そうしよう。まずは今日、朱里に謝罪してもらい、掲示板に書き込みをしたかの確認をする。その上で、改めて処分を考えて追って通達する」


「はい」


 私はなるべく感情を荒立てないよう、平静を務める。


 尊さんは私に近づき、ポンと肩を叩く。


「秘書になったばかりでやる事が一杯なのに、余計な事で患わせてすまんな。もっと早く手を打つべきだった」


「何言ってるんですか。尊さんのせいじゃないでしょ」


「よし、じゃあ行くか」


「はい!」


 私たちは副社長室をあとにし、廊下を歩いていった。






 会議室内には、重苦しい空気が漂っている。


 長テーブルには面接のように、片側に風磨さんや尊さん、部長をはじめ私、もう片側には例の三人組が萎縮して座っている。


 その表情はしおらしく反省しているように見えるけれど、心から反省している訳じゃないのは分かっている。


「さて、上村さんに謝罪してもらう前に、聞いてもらいたいものがある」


 尊さんはそう切り出し、ボイスレコーダーを出すと再生し始めた。

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