表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全年齢版】部長と私の秘め事  作者: 臣 桜
第三回女子会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

537/600

社食でのヒソヒソ話

「最後に、皆さんから質問はありませんか?」


 尊さんが三人に尋ねると、表情に焦りを滲ませた岩淵さんが立ちあがった。


「私、ボディガードも兼ねていたと申し上げましたが、他のお二人は如何ですか?」


 すると照中さんは取り繕うように笑った。


「私はそういったものはまったく……。人脈ならあるのですが」


 彼が答えたあと笹島さんはしばらく沈黙し、焦れた岩淵さんが「笹島さんは?」と尋ねられて初めて、私たちのほうを見て窺ってきた。


「この問いに答えてもよろしいですか?」


「お願いします」


 尊さんが言うと、笹島さんは岩淵さんを見ず、私たち面接官のほうを向いたまま答えた。


「履歴書に書いてあります通り、合気道八段、師範です」


 すごーい!!


 私は心の中で猛烈な勢いで拍手をした。


 岩淵さんは悔しそうに表情を歪め、ゆっくり椅子に座り直す。


「他にありませんか?」


 尊さんはもう一度三人に尋ね、返事がないのを確認したあと頷いた。


「それではこれで面接を終わります。ご退室してください」


 彼が言ったあと、三人は立ちあがり、一礼をしてから退室していった。


「はぁ……」


 私は溜め息をつき、テーブルの下で手を組んで静かに伸びをする。


 尊さんは人事部長や秘書室長と確認し合い、「決まりですね」と言っていた。


 ……うん、私も決まりだと思う。


 その後、私たちは面接会場をあとにして、一旦副社長室に戻ったあと、ランチをとる事にした。






「おーっす」


 社食に行くと出入り口付近に恵がいて、私の姿を見ると手を上げて声を掛けてきた。


「面接してたって? お疲れさん」


「ありがと」


 今日のおすすめは何かな? と掲示板を見ようとした時、ヒソヒソと「上村さん……」と言う声が聞こえ、私はハッとそちらを見る。


(わ……)


 すると島流しになるらしい、総務部の三人と、取り巻きらしい人たちがチラッとこちらを見ていたところだった。


「朱里、気にしたら負けだよ。どうせあいつら処分受けるんでしょ。朱里は被害者なんだし、堂々としてなって」


 恵は耳元でボソッと言うと、「何食べようかなー」と少し大きめの声で言う。


 彼女の言うとおりだし、ここで動揺すれば相手の思う壷だ。


 分かっているけれど、私は今日のおすすめを見ながら聞き耳を立てていた。


「お世話になったのにお気の毒に……」


 取り巻きに言われ、南郷さんは溜め息をついて笑った。


「仕方ないよね。〝上〟のお気に入りを怒らせてしまったんじゃ」


「裏でどんな事をしても、いい子ぶってると周りからの受けがいいんだろうね」


 橘さんが言ったあと、年上の女性――多分、斎木さんが言った。


「私の息子が法学部を卒業してるから、この処分に問題はないか聞いてみようかなぁ……」


「うそー、優秀なんですね」


(裏ってなんだ……)


 チベットスナギツネみたな顔をしてその会話を聞いていると、恵にドンッと背中を叩かれた。


「ほれ、行くよ。個数限定の手作りプリン、奢っちゃる。朱里はいつも通り大盛りパスタでも、大盛りカツ丼でもモリモリ食べなって。……夜に焼き肉あるけどね」


「うん……。ありがと。……大盛り食べても焼き肉は入るから大丈夫」


「……落ち込んでるように見せかけて、食欲は落ちないよね……。頼もしくて好きだわ」


 恵はカウンターに向かう途中、彼女たちから私を庇うように右手側を歩いた。


 なるべく気にしないようにしているのに、どうしても耳はヒソヒソ話を拾ってしまう。


 チラッと彼女たちのほうを見ると、近くのテーブルに紗綾ちゃんが座っているのが見えた。


(私の事を応援してくれるって言ったのに、悪く言われてるのを聞かれて格好悪いな……)


 私は物凄い恥ずかしさを覚え、腹いせに大盛りカルボナーラを食べようと決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ