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第20話(下)旅立ちの朝 - 新たな目的地、COBOL王国へ

 おにぎりとか玉子焼きとか正統派の朝ごはんってあこがれません?

わざと用意して置いておいて家で食べるのもよいです(^^)

 「でも…」リリカが渋い表情を見せた。

 「私は行けない」


 「どうしてだ?」アキトが訊ねる。


 「COBOL王国は閉鎖的なところがあってね」リリカは複雑な表情で説明した。 

 「特に新興言語の出身者には厳しいんだ。

  私みたいな『最新世代』は『対象外言語』として扱われることがある」


 「昔、外交問題になったこともあるからね」リカルドがフォローした。

 「リリカの出身地域とCOBOL王国は、なんというか…相性が悪いんだ」


 「そうよ」リリカは肩をすくめた。

 「私自身は何とも思ってないんだけれど、向こうさんがね…。だから私は別のルートで情報収集するわ。その間に、あなたたちはCOBOL王国で必要な装備と訓練を」


 「ワタシモ、COBOL王国ニ興味ガアリマス」イオが静かに言った。

 「古イコードノ源流ニハ、『遺産』ニ関スル情報ガ残サレテイルカモシレナイ」


 「よし、決まりだな」リカルドが手を叩いた。

 「アキト君、リリス、バグジロウ、そしてイオはCOBOL王国へ向かう。リリカは…」


「私は別の方向から攻める」リリカは笑顔で手を振る。

「Pythonスクリプト連邦の知り合いを頼って、バックドアを探してみる」


 彼女はポケットから小さな結晶のような装置を取り出した。

 「これは『クオンタム・リンク』。距離に関係なく通信できる。

 何かあったら連絡して」


 アキトが装置を受け取ると、リリスが質問した。

 「準備はどのくらいかかりそう?」

 「一週間程度じゃないかな」リカルドが答えた。

 「基本的な訓練と装備が整えば、次の行動に移れるはずだ」

ーーー


 朝食の後、女将はアキトたちのために弁当を作り始めた。


 「道中のお弁当です。COBOL王国までは半日ほどかかりますからね」

 アキトは好奇心から厨房を覗くと、女将が器用に卵を焼いている様子が見えた。


 「料理はそれなりにできますよ。何か手伝いますか?」

 「あら、ありがとう。じゃあ、そこのおにぎりを包んでもらえるかしら?」


 アキトは指示されたとおりに、三角形に握られたおにぎりを海苔で包んでいく。

 塩味の効いた白いご飯と、中に入った鮭の香りが食欲をそそる。


 「いいにおいですね」


 「和み亭特製の醤油漬けシャケなんですよ」女将が笑顔で答えた。

 「ここの塩加減が絶妙なんです」


 「エネルギー補給ノタメノ食物…興味深イデス」

 イオが青く光りながら覗き込んできた。


 「有機生命体ノエネルギー摂取方法ハ効率的デスカ?」

 「まあ、効率的かどうかは別として」アキトは笑った。

 「美味しいのが一番大事かな」


 女将は卵焼きを切り分けると、弁当箱の一角に並べた。

 甘じょっぱい香りがふわりと立ち上る。


 「一つ味見してみます?」女将が卵焼きを一切れ差し出してくれるのを口にしてアキトは驚いた。


 「甘い卵焼きなんですね」アキトが言うと、女将は驚いた様子で振り返った。


 「お好みは違いましたか?」

 「いえ、好きです。母の卵焼きと同じ味がしたから…」


 アキトの言葉に、女将は優しく微笑んだ。

 「そうですか。食べたくなったら、いつでも言ってくださいね。」


 弁当には他にも、カリッと揚げられた唐揚げ、梅干し入りのおにぎり、

 野菜の煮物などが詰められていった。すべて見慣れた日本の家庭料理だ。


(まるで運動会の弁当みたいだな…ちょっとワクワクしてきた)


 「ナゼ三角形ノ形状ニスルノデスカ?」イオが不思議そうに尋ねた。

 「持ちやすいからですよ」女将が答えた。

 「形には意味があるんです。機能性とおいしさの両立…プログラミングと似ているかもしれませんね」

 「ナルホド…効率的デス」


---

 出発の時刻が近づいてきた。バグジロウは和み亭の前で待機し、アキトたちは最後の準備をしていた。


「タナカさんの改造で調子がいいぜ!」バグジロウが得意げに言った。

「ステルス機能も完璧だし、速度もアップしてるからな!」


「ワタシハ自力デ移動デキマスノデ、乗車ハシマセン」イオが宣言した。

「シカシ、意識ノ共有ハ維持シマス」


 イオの姿は青い光の流れとなり、バグジロウの周囲を漂い始めた。


 「しかし、COBOL王国か…」リリスが感慨深げに呟いた。

 「私も一度しか行ったことがないわ」


 「私は父の故郷だから何度も行ったことあるけど」女将が言った。

 「少し古風な感じで、最初は戸惑うかもしれないけど、温かい人が多いところよ」


 リカルドが最後の助言をした。

「王立図書館に行ってみろ。古代のコードに関する知識が集まっているはずだ」

「ありがとうリカルド」

「準備ができたら合流しましょう」


 「私とリカルドは調査を続けるよ」リリカはリカルドの肩に手を置いた。

 「必要な情報が揃い次第、すぐに合流するから」


 リカルドはうなずいた。

 「ああ、クラスタータワーの攻略計画をもっと詰めておく。それに、グローバル・ソリューションズについてもさらに調査が必要だからな」


 アキトたちはバグジロウに乗り込んだ。

 弁当箱はしっかりと座席の横に固定された。


 「いってらっしゃい」女将が手を振った。

 「どうかご無事で。私たちは明後日に出発しますので、COBOL王国でお会いしましょうね」

 「せっかくだし、私が街をご案内するね!」マリカも元気よく声をかけた。


 バグジロウがゆっくりと地面から浮き上がり、

 和み亭の上空に舞い上がった。アキトは窓から手を振り返した。


 「じゃあな!古の街で良いものが見つかることを祈るよ!」

 リカルドの声が風に乗って届いた。


 「それじゃ、行くか」アキトがバグジロウに声をかけると

 「別れのあいさつは大丈夫か?じゃあ行くぜ」

 という返事が返ってきた。

 (意外に気を遣うやつなんだな。。。)

 ホバーカーは静かに加速し始めた。


 朝の光の中、COBOL王国への旅が始まった。

 バグジロウの車内では、すでに会話がはずんでいる。


 「その弁当、美味しそう」リリスが言った。

 「少し食べてみない?」

 「そうだな」アキトはおにぎりを取り出した。


 「イオにも見せてあげたいし」

 「ニオイダケデモ興味深イデス」イオの声が車内に響いた。

 「有機体ノエネルギー変換プロセスガ観察デキマス」

 「なんだか実験台にされてる気分だな」アキトは苦笑する。


 少し海のような焼きたてのノリと鮭の香りが車内に広がり、

 たまらなくなったアキトは一口かじった。


 「どう?」リリスが尋ねた。

 「うん、美味い」アキトは素直に答えた。

 「なんだか懐かしい…ホッとする味だ」


 窓の外には、次第に変わりゆく景色が広がっていく。

 Javaシティの塔がはるか遠くになっていくなか、彼らは新たな目的地、

 COBOL王国を目指して空を進んでいった。


 次の冒険がもうすぐ始まる。

 さて、次はCOBOL王国に入ります。

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