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第六話 ウィルの秘密

エリーザの質問にウィルは悲しむどころか、嬉しそうな顔をした。

「エリーザ、ぼ、、、ぼくね、、、、妖精とお話が、、、、出来るの。信じられないと思うけど、、、」

「ウィル!あなたって素晴らしい心の持ち主なのね!どんな妖精なの?教えて!」

「え?僕の話を信じてくれるの?」

ウィルは驚きを隠せない。信じてもらえただけではなく、素晴らしい心の持ち主なんて言われるとは思っていなかったからだ。

「当り前よ。だって、ウィルの体からは優しいオーラが出ているから。そんな人が嘘をつくわけがないわよ。私、そういう感は冴えているのよ。私の国では、素晴らしい心の持ち主には妖精が現れるという言い伝えもあるのよ。だから、教えてくれる?」

エリーザは興味津々だ。

ウィルは少し照れながら、口を開いた。

「ぼく、初めて人に妖精のことを話すから、上手く伝えられるかわからないけど、、、、。

僕は、生まれた時から一人ぼっちだったの。お母様は僕を生むと、すぐにバレリーナの仕事を復活して、外国へ行ってしまったの。お父様は知っての通り、僕の髪の毛を見て不吉だと言い、乳母に僕を預けたままにした。乳母も、不吉な子の面倒を見たくはないと言って、地下室に置き去りにしたんだ。みんな、僕が飢えて亡くなると思っていたのに、毎日、食事を与えないにも関わらず、様子を見に来ても、痩せてはいるけど生きている姿を見て、僕の事を悪魔だと思い始めたんだ。もしかすると、自分たちに仕返しをするのかもと怖がり、最低限の世話だけはしてくれるようになった。

僕が今生きているのは、妖精のおかげと、皆の勘違いのおかげかな?

僕は、見た目は悪いけど、悪魔ではないから安心してね。」

ウィルは、エリーザに信じてもらいたいと思いながらも、不安でいっぱいだった。

寂しそうな笑顔を見て、エリーザは心の中で

『ウィルはなんて強い子なんでしょう。私なら、少しも耐えられないわ』と思ったが、口には出さなかった。ウィルの話を最後まで聞いてあげたかったからだ。

これまで、誰にも心の内を話したことがないウィルのためにエリーザが出来る最大の優しさだと思ったからだ。


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