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第三十九話 ウィル リヒテル王国へ旅立つ

ティアナ王国は、まだ夏とは言えないほど肌寒い朝だった。目を覚ますと妖精たちがウィルを囲み、覗き込んでいた。

ウィルはベッドの中から、少しだけ顔をだした。

「妖精さんたち、おはようございます。」

ウィルは元気に挨拶をしようとしたが、妖精たちの顔を見ると涙があふれてきた。

リヒテル王国へ旅立つ日は、妖精たちに涙を見せないようにと思っていたが、ウィルは、我慢が出来なかった。とめどなく流れる涙を妖精たちがキラキラ光る宝石に変えてくれた。

ウィルの枕元に、サファイヤやアメジストのような青や紫に光る宝石がパラパラと零れ落ちる。妖精たちはせっせと宝石を拾い金色の袋に入れていく。そして、宝石でいっぱいになった金色の袋をウィルに手渡した。

「ウィル、あなたと離れていても、私たちはいつでもあなたを思っているから。この宝石は、私たちの力を込めた特別な物よ。何か困った時は、この石に願いを込めながら握りしめて。そうすれば、必ずウィルを助けてあげるから。出来れば、使わずにいて欲しいわ。困ることが無く、楽しい毎日が過ごせることが、私たちの願いなのよ。」

ウィルは妖精達から、たくさんの勇気をもらったことに、感謝の言葉を述べた。

妖精達がいない日々に耐えられるのか、不安になっていたけど、自分を信じて送り出してくれるのだから、妖精たちを心配させないためにも、元気に立派に毎日勉強に励み、学生生活を満喫したいと宣言した。

ベッドから起き上がり、洋服を着替えた。

そして、もう一度地下室を見回した。

たくさん積み上げられた異国の本や、楽器、美しい絵画、どれも祖母によって禁制品としてとりあげられたが、父王が大切に隠していた物だ。

ウィルがティアナ王国へ戻る時には、これらが地下室から運び出され、国民の手元に戻っている世の中にしたいと思いながら見つめた。

「妖精さん、ぼくを守ってくれてありがとう。たくさんのことを教えてくれて感謝します。皆からの知識や勇気を無駄にしないように、リヒテル王国へ行ってきます!」

ウィルはしっかり前を向き、城門へ向かって歩き始めた。


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