第三十四話 ウィル ティアナ王国からの旅立ちまでの日々~その2
図書館へ続く回廊を歩いているウィルへ、城で働く者たちが会釈をする。皆、これまでのウィルへの仕打ちを後悔するよりも、首になる、むち打ちになる、もしくは死罪になるのではという恐怖におののいていた。ウィルは、彼らの姿を見ると、胸がムカムカして、息が出来なくなりそうだった。急いで図書館へ入ると、司書さんが出迎えてくれた。
「ウィル様、本日はどのような本をお探しですか?」
司書さんは、城内での騒ぎを知っているにも関わらず、いつも通りの対応をしてくれた。
そのおかげで、ウィルの気持ちも落ち着いた。
「本日は、司書さんに質問があります。
僕は、どうしたら良いのでしょうか、、、。」
ウィルは、突然話し始めた。
司書さんは、優しく椅子に座らせてくれた。
「司書さん、父上が、侍女や近衛兵達への罰を僕が決めるように申し付けました。
僕は、たくさん嫌なことがあったけど、罰するという行為が怖いのです。
許せないこともたくさんあるけど、罰を与える方法がわからないのです。
どうしたら良いのでしょうか?」
司書さんは静かに口を開いた。
「ウィル様は、優しい心をお持ちです。しかし、何も罰を与えないとなると、示しがつきません。皆さん、死罪に値するほどの違反をしていたのですから。
しかし、人の命を奪う行為は、自分の心も殺してしまいます。
ウィル様が王族として、初めて行うことが死罪を命じると言う行為は、避けた方がよろしいかと思います。
ウィル様には、まだ人の命を奪う心構えも何も持っていないのですから。」
ウィルは司書さんをじっと見つめた。
「ウィル様が寛容な態度を見せることも大切ですから、死罪よりは軽い罰を与えてはどうでしょうか?」
ウィルは思いついた。
「司書さん、ありがとうございます。
僕にしてきた行いを、今後、他の人にもした場合は、死罪にするというのはいかがでしょうか?
もちろん、今は、反省をしてもらうために、役職をはく奪し、教育係を付けて仕事を見直してもらいます。」
司書さんはウィルをみつめ
「賢明なご判断です。自分の感情だけではなく、他の方への配慮もされる。素晴らしいお考えです。ウィル様は、やはり曽祖父ウイリアム王の血を継いでおりますね。」
ウィルは微笑みながら、感謝を伝えた。
そして、父王の執務室へ向かった。




