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第二十七話 エリーザ、父フリードリヒ王に懇願する

エリーザは翌朝、父、フリードリヒ王へお願いをすることを頭の中でまとめ直した。そして、乳母のマーサに、少しでも知的に見える髪型とドレスを見立ててもらった。マーサは瞬時に、「エリーザ様は何かお願いをしたいのね。」とつぶやいた。

エリーザはにっこり笑って

「流石はマーサね!お父様にお願いをしたいことがあるの。欲しい物があるとかではなく、国の政治に関することにもなるから、真面目なお話をしたいの。だから、マーサの力で少しでも知的に見えるようにしてね。」

エリーザは美しいまとめ髪にエリーザの目の色に合わせた髪留め、そして青地に金の刺繍がついたドレスを着て朝食の会場へ出向いた。

エリーザはいつもの席に座った。リヒテル王国の朝食の席は、円卓になっている。

代々、朝食だけは、普通の家族のように話したいと願う歴代の王たちが考えた部屋である。父、フリードリヒ王と母メアリー王妃を囲むようにして第一皇子リチャード、第二皇子アレクサンダー、第一皇女マルガレーテ、第三王子ルイ、そして一番最後が第二皇女のエリーザとなる。エリーザの席は父、フリードリヒ王の隣となる。

エリーザは今日ほど、歴代の王に感謝した日は無いだろう。

いつもは、テノール歌手である、お調子者の第三王子ルイが会話の中心となり、真面目な話がいつのまにか、笑い話に変えられてしまうからだ。

だからこそ、父、フリードリヒ王に、エリーザは真剣な面持ちでこっそり耳打ちをした。

「お父様、真面目な相談があります。朝食の席でお話をしても良いのですが、お父様のお時間があれば、この後、二人だけでお話しできますか?」

父、フリードリヒ王は、エリーザの目を見て、これは、何か物が欲しいだの、コンサートを聴きに行きたいという願いでは無いと感じとった。

「エリーザ、今日は少しだけなら朝食の後に時間を作れるから、執務室へ来ると良い。私と共に行こう。」

エリーザは

「お父様、ありがとうございます。とても嬉しいです。

実は、お父様はお忙しいから、私とお話が出来ないのでは?と思い、緊張をしていたのです。

ほっとしたら、お腹がすいてきました。

今日はお父様の大好きなチーズとパンがありますね。

私の大好きなフルーツタルトもあるわ。朝食なのに、タルトもあるなんて、何故かしら?」

フリードリヒ王は笑いながら言った。

「きっと、マーサがエリーザを元気づけるために、シェフに頼んだのだろうね。タルトがあるのは、エリーザだけだから」

エリーザは、朝日が差し込む美しい朝食会場を見て、思った。

「ウィル、あなたも、リヒテル王国へきたら、きっと幸せな日々を送れるはずよ。リヒテル王立音楽院は、あなたの住む地下室とは違って、光がたくさん差し込む美しい食堂もあるし、交換留学生が暮らす寮にはキングサイズのベッドが用意されているわよ。

そして、なんと言っても、私がいるのですから。

きっと楽しい毎日を過ごせるわよ。

そのためには、この後のお話、成功させなくては!」

エリーザは大好きなタルトを味わった。

テーブルを囲む家族の笑顔、そして、やはり、本日もルイお兄様が面白いお話をしている。

リヒテル王国は平和な国であった。



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