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第二十六話 エリーザ、策士になる

エリーザはノートに考えを書き始めた。


「ウィル、ティアナ王国脱出作戦」


ウィルについて

①父王と話せない。自分から願い事を話しかけることは無いだろう。

②第一王子、第二王子が意地悪、多分、二人ともウィルよりは頭も弱い。

③ウィルは武術が嫌い。他の王子は武術が好きそう。

④音楽、どんな楽器でも演奏出来る。作曲の力もありそう。

⑤母のニーナは世界的バレリーナ。

⑥ティアナ王国の学校や家庭教師はついていないはず。

⑦妖精が見える。


エリーザは書き留めたウィルのことを読み返した。

そして、ある思いが浮かび上がった。


「交換留学制度を利用?」

ウィルは入学試験を受ける資格は持っていない。リヒテル王立音楽院は、12歳以下で試験を受ける場合は、有名なコンクールでの成績、もしくは、学校での成績を見て、教授が欲しいと思う生徒だった場合は、特例として入学試験を受けることが出来る。

しかし、今のウィルには無理である。

エリーザは、リヒテル王国は他国との交換留学制度があったことを思い出した。

これまでにも、チェレーナ王国、クラーク王国と交流をしている。

だから、リヒテル王国とティアナ王国の交換留学制度を、父、フリードリヒ王に作ってもらうよう働きかければ良いと思った。

しかし、ここで大事なのは、ウィルが選ばれるようにする制度を持ち掛けないといけない。

ティアナ王国で学べることと言えば、軍事力だけである。エリーザの従弟、ブルーナは王族であるにも関わらず、筋力トレーニングや剣術に励んでいる。ティアナ王国の将軍と手合わせを熱望していることもエリーザは知っていた。リヒテル王国からは剣術を学びたい人を差し出し、代わりにティアナ王国からは芸術を学びたい人を招致するようにお願いしよう。もちろん、リヒテルからは王族が留学へ行くのであるから、ティアナからも王族が来るという条件も付けくわえてもらおう。ティアナ王国で芸術を愛することの出来る王族はウィルしかいないはずだ。きっと、第一王子や第二王子は、嫌がるであろう。ウィルを馬鹿にしているくらいだ。きっと芸術をたしなむ心もあるはずがない。

何と言っても、ブルーナとウィルは同じ年だから、年齢も考慮してもらおう。

同じ年の王族が交換留学。

完璧な計画である。

エリーザはブローチを見つめながらつぶやいた。

「ウィル、待っていてね。私があなたをリヒテル王国へ連れ出してあげるわよ。」


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