第二十五話 ウィルとエリーザ、お互いに同じ願いを抱く
ウィルが青月祭の日、エリーザからもらったリボンを眺めて、リヒテル王国へ留学する方法を悩んでいた同じ時間、エリーザはウィルからもらったブローチを眺めていた。
そして、エリーザもウィルがリヒテル王国へ来るには、どうしたら良いのか悩んでいた。
ウィルはティアナ王国で元気に暮らしているのだろうか?
近衛兵や侍女に優しくしてもらえるようになったのだろうか?
思えば思うほど、エリーザは心配になり、気分が落ち込んでいった。
「自分を信じる。
あなたを信じる。
苦しいことも、悲しいことも、
二人の気持ちが一つになれば、
必ず幸せになれる。」
勿忘草の丘で、青い雪を見ながら二人で誓った言葉を思い出していた。
エリーザは少し心が温かくなった。
ウィルは、青月祭で生まれ変わったのだから、きっと元気に過ごしているはず。
リヒテル王立音楽院へ留学するにはあと7年も待たなくてはいけない。
エリーザとウィルは5歳。
入学試験を受けることができる12歳まで待つ間に、ウィルの人生が大きく変わってしまうのでは?と心配になった。
エリーザは歌姫と呼ばれているが、知識も豊富であった。
諸外国の事情にも詳しいのは、兄達の勉強を横でみているだけで頭に入ってしまうからだ。
だからこそ、エリーザはティアナ王国から、今のうちにウィルを国外へ出すべきだと考えていた。
今は落ち着いていても、ウィルの兄弟、第一王子と第二王子が成長したら、きっと戦争が始まってしまう。ヘンリー王が抑えていたはずの戦争も、彼らが率先して始めるはずだ。
エリーザはノートに考えを書き始めた。




