第二十二話 ウィル、図書館の妖精に教えを乞う
ウィルは何事もなかったかのように図書館へ向かっていたが、内心は第二王子との出会いで心臓が破裂するかと思うくらい緊張をしていた。
そのような面持ちで図書館の扉を開けると、司書がメガネを光らせてウィルを見つめた。
「カードを見せて」
司書はウィルを一瞥し、冷たく言い放った。
図書館は、王族や貴族の子供たちが学ぶために解放されているが、皆、図書カードを持っていた。
しかし、ウィルには家庭教師や、授業を受けるための部屋を与えられたこともないため、戸惑ってしまった。
「ごめんなさい。僕、カードを持っていません」
司書は、重い腰を上げ、後ろから分厚い本を取り出した。
「名前は?」
「ウィル・ティアナ」です。
司書は目を丸くし、もう一度ウィルを見直した。
「もしかして、第三王子ですか?」
「はい、そうです。」
司書は慌てふためきながら、本を慌てて閉じ、カードを用意した。
「第三王子様、大変申し訳ございません。
失礼な態度をお許しください。
こちらのカードは王族専用となっております。
ご自由にお使いください。
何か、必要なことがございましたら、司書カウンターへお伝えください。
本日は、どのような本をお探しでしょうか?
分野を教えていただければ、ご案内いたします。」
「司書さん、ご丁寧にありがとうございます。
本日は、図書館全体を見てみたいので、ご案内は不要です。
何か、不明なことがありましたら、声をかけさせていただきます。」
ウィルは失礼な態度をとっていたはずの司書に礼儀正しく接した。
司書は噂と全く違う第三王子に戸惑っていた。
『第三王子は、悪魔の子だから、地下室へ閉じ込められていたはずなのに、、、。
第一王子、第二王子よりも、立派に見えるわ。
本当は、誰よりも賢く、礼儀正しいのね。
悪い噂は、きっと妬みからきたのね。』
司書はウィルの後姿を見ながらつぶやいた。
ウィルは図書館の蔵書に圧倒されていた。
天窓から差し込む光に照らされた背表紙がキラキラ輝いている。
なめし皮に金の文字が型押しされた物がひときわ目に付いた。
手が届かないくらい高い棚の上にあったが、本の妖精がウィルの目の前に持ってきてくれた。
「本の妖精さん、ありがとう。
この本は何の本かな?」
ウィルはタイトルを読んだ。
『ティアナ王国と諸外国の歴史』と書いてある。
「妖精さん、僕はまず、歴史を勉強するんだね?
ありがとう!
しっかり読んで覚えるよ。」
妖精へ感謝をし、ウィルは図書館の長椅子に腰掛けた。
そして、ゆっくりページを開き読み始めた。




