第十八話 ウィル、地下室へ戻る
ウィルの周りには妖精がいる。
暗い地下室の中に、たくさんの妖精が集まってきた。
皆、ウィルの寝顔を見つめている。
「ウィル、起きてよ~」
「ウィル、青月祭のお話きかせてよ~」
「ねぇねぇ、リヒテル王国はどうだったの?
私たちが本で読んだ通りの素敵な国?」
妖精たちがささやき始めたが、ウィルはまだ起きない。
妖精たちは心配になってきた。
「ウィル、どうしたの?
私たちの声が聴こえなくなったの?」
妖精たちがウィルの顔を覗き込むと、幸せそうな寝顔が見えた。
ウィルは今まで、寝ているときでさえも辛そうな顔をしていた。
こんな穏やかに寝息をたてているウィルを見るのは初めてだった。
今までとは違うウィルの姿に妖精たちは驚きを隠せなかった。
ウィルが目を覚ました。
目をこすりながら、妖精たちに挨拶をした。
しかし、ウィルはまだ寝ぼけていた。
もしかすると、数日前の出来事は、全て夢だったのだろうか?
リヒテル王国や、青月祭、
そして、エリーザとの出会い全てが夢だったらと思うと、
恐ろしくなった。
しかし、妖精たちが口々にリヒテル王国のお話を聞きたがる姿を見て、夢ではなかったと安堵した。
エリーザからもらったリボンは大切に宝箱へしまっていた。
ベッドから起き上がり、机の引き出しを開けると、美しいブルーナイトという宝石で飾られた箱が出てきた。
この箱も、国民から取り上げたものだ。
ウィルが地下室でみつけた物であるが、心が痛んだ。
僕が使って良いのかな?
本当は、この箱を大切にしていた持ち主がいるはずなのに、、、。
いつか、本当の持ち主に返せるように、僕がこの国を変えよう。
持ち主さん、ごめんなさい。
いつかお会い出来る日まで、僕が大切に使います。
宝箱の宝飾は、エリーザの目の色、そして、エリーザと見た青い雪を思い出すことが出来る青いブルーナイト石、そしてエリーザの美しい髪を思い出させる金細工で飾られていた。
暗い地下室ではあったが、美しい物に囲まれた幸せな空間に、初めて友からもらったプレゼントが加わった。
ウィルはティアナ王国へ帰って来てから、一日に何度も見返していたのだった。
「僕が強くなるために、まずは、何から始めよう?
妖精たちに相談しよう!」




