第十五話 ウィル、母の舞台を観る
ウィルが席へ着くと同時に、リヒテル王国国王夫妻、そして3人の皇子、2人の皇女が入場してきた。
リヒテル王国国民は皆、立ち上がり、胸に手を当てた。
ウィルも真似をしてリヒテル王国の王族を迎えた。
『エリーザは可愛い妖精のようだけど、国王夫妻は神話に出てくる神様と女神様のようだ。お兄さん、お姉さんも美しいな。皆、笑顔で幸せそう。国民に愛されているのが伝わってくる。僕も、リヒテル王国国王一族のような敬愛される王様になりたいな。』
ウィルが思いにひたっていると、舞台にスポットが当たった。
真っ暗な舞台から、一人の女性がスポットによって現れた。
ウィルは思わず息を呑んだ。
舞台にたつバレリーナは少女のように見えるが、ニーナ妃、そう、ウィルの母親だったからだ。
本日の舞台は「青い雪の伝説」という演目。
リヒテル王国に伝わる神話でもある。
ウィルが地下室で読んだ絵本、そして、エリーザとみることが出来た青い雪にまつわるお話だ。
ウィルは舞台をみつめた。
オーケストラの物悲しい旋律に合わせて、少女が踊り始めた。
一瞬で、観客はニーナの演舞に引き込まれた。
ステージの上に丘を再現している。
大聖堂の裏に続く丘のようだ。
ウィルは横目でエリーザを見た。
エリーザは、ニーナ妃へ釘付けになっていた。
ウィルはその様子を見て、誇らしげに思えた。
『僕のお母様は、本当に世界中の人を魅了するバレリーナだったんだ。
僕もいつか、人々が魅了するような芸術家になりたい。
その時はエリーザも一緒にいて欲しいな。』




