その99
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
次の日、教室で信じられないことがあった。
一文字のやつったら、坂口さんのことを「メグちゃん」と軽々しく呼んでいたのだ。
僕だって、まだ、「坂口さん」なのに。
テルやヒロキだって、まだ、「坂口さん」って呼んでるのに。
ちくちょー!
何故だかわからないけれど、僕はそれが無性に許せなかった。
悔しかった。
腹が立った。
「ねえ、住田君、どうしたの?」
丁度、班活動で「壁新聞」の相談をしている最中だった。
「あ…ご、ごめん、ちょっと、ぼんやりしてた…。」
「しっかりしてね。」
僕に声をかけてきたのは、元手芸部の石川さん。
リレーの時、僕にバトンを渡してくれた人。
ハッとなって、班での話し合いに戻ると、目の前にブラブラぶら下がる「モイスチャー」のチャームがついたシャープペンが動いている。
あれ?っと思ったら、それは石川さんのだった。
「石川さん、モイスチャー好きなの?」
そう尋ねると、彼女は恥ずかしそうに「そうなの。」と小声で答えた。
「え?嘘っ!俺も、俺もモイスチャー好きなんだ〜!」
僕はそう言うなり、慌ててカバンの中から「グレートグレートヒーローズ2哀しみの幾何学模様」の映画を見に行った時に買った、「モイスチャー」のクリアファイルを出して見せた。
「え〜!あれ〜?住田君、それ買ったの〜?嘘〜?あたしも同じの持ってる!」
そう言うなり、石川さんもカバンから同じクリアファイルを出してきた。
「わ〜ははは、お揃いだ〜!」
「なんかさ、あたし、好きなんだよねえ、モイスチャー。」
「あ〜、なんかわかる、敵だけど、なんか憎めないってのか、完全に倒したくないってのか。」
「そ〜!」
僕と石川さんで盛り上がっていると、同じ班の女子のヤマシタさんから「あのさあ、それは後で2人で盛り上がってもらえるかな?今は、こっちに集中してもらえる?」と苦言を呈された。
「は〜い!ごめんなさ〜い!」
石川さんと2人で謝って、ふと顔を上げると、一瞬坂口さんと目が合った。
けれども、坂口さんはすぐに目を逸らし、同じ班の一文字達と楽しそうにし始めた。
ん?なんだろ?坂口さん、チラッと目が合った気がしたけど…。
気のせい?
少しだけ気になったけれど、その後の掃除当番でも、結局石川さんと「モイスチャー談義」で大盛り上がりだった。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話は後ちょっと続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




