その97
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
「フォークダンスと、カレーの夕べ」が終わると、いつも通りの落ち着いた雰囲気が戻ってきた。
「スケベ心の君」こと、ベルウッドこと、鈴木は、楽しみに楽しみにしていた「フォークダンス」が踊れて大喜び。
「いっぱい色んな女子と、手え繋いじゃった!てへ。」
よかったね、ベルウッド。
女子からは少し不評を買ったものの、イケちゃんの指導通り、きちんと綺麗に踊った鈴木は偉かった。
災害時の避難所になることから、「防災備蓄用品」として、学校に大量に備蓄してあったお米も、消費期限が近かったらしく、良い形で僕達3年生のお腹に無事に収まってめでたし、めでたし。
僕はお米の出所がわからなかったので、後でヨーコ先生から聞いて「なるほど〜!」なんて思った。
男ヤマシタと女子のヤマシタさんは、あれからもそこそこ仲が良いけれど、「彼氏」「彼女」として付き合っていた頃の様な、ベタベタした感じは微塵もない。
本当に「友達」って感じだ。
僕はそういう経験をしてないから、どういう感覚なのかはわからない。
けれども、前に秋田さんが言ってた様に、ちゃんと「友達」とかって決めつけなくても、本人達がよければ、それでいいって、今ならそう思えるから。
彼らのことは深くどうこう聞いたりはしない。
だって、野暮だもん。
あれから、坂口さんとは、ちゃんと喋ってない。
わざと避けてる訳じゃないんだけれど、ただ、たまたまそうなってるだけ。
席替えで班も一緒じゃないし、席も随分と離れちゃったから。
学校帰りの時、テルと秋田さん、僕と坂口さんの4人の毎度のメンバーで帰ってるけれど、坂口さんも僕も、なんとなく、話せていない。
楽しそうにしているテルと秋田さんの後ろを、ただ黙ってついて歩いてるだけ。
それがかえって不自然で、気持ちがず〜んと重くなる。
本当は普通に喋って、帰りたい。
坂口さんを見る。
彼女はあっちの方を向いて、ふんふんと「轟け!不屈の魂!大将軍」のオープニング主題歌を口ずさんでいる。
平気なのかな?
彼女の気持ちを勝手に考える。
もう、忘れちゃってんだろうか?
僕は少し不安になる。
途中で摘んだ小さくて黄色い花を片手に持って、坂口さんは空を見上げる様に歩いてる。
あれ?今、目元が光った様な…
ちゃんと彼女の横顔を見つめると、目元に大きな涙の玉が…
「あっ!さ、坂口さん!あ、あのさ〜…」
「な〜に?住田君…」
「あっ、あっ…あの…あの…今度から…」
「今度から、何?」
「ニッキって、呼んでもらって構わないよ…。」
「え?…いいの?」
「あ…うん…いい…」
僕は自分でも何を喋っているのか、よくわからなかった。
どうして急に、そんなことを言っちゃったんだろう?
でも、坂口さんの顔が急にパーッと明るくなると、僕はそれでいいって思ったんだ。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




