表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/103

その96

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

気がつくと、辺りは随分と暗くなってきていた。

グラウンドの真ん中のキャンプファイアーの火が、なんだか妙にいい雰囲気。

ずっとそのまま眺めていたい様な、そんな気分になる。

そろそろ花火が始まる。

手持ち花火を受け取ると、ろうそくから火をもらった。

チリチリチリチリ。

線香花火の小さな小さな花が咲く。

僕らはじっとそれを見つめている。

坂口さん、怒ってるのかな?

僕がゴニョゴニョしてたから。

なかなか返事をしなかったから。

どうしよう…あれっきり、近くにいても全然こちらを見ない。

僕の次の、踊りのパートナーだったヒロキにさりげなく探りを入れたけれど、坂口さん、特に変わった様子もなかったって。

普段通りに、ケラケラ笑って、「足大丈夫?」って心配してくれたって言ってたな。

坂口さんに、嫌われちゃったのかな?

だったら…だったら…寂しい…かも。

ぼんやりと線香花火を見つめていると、だんだん火花が小さくなって、そのうち少し大きくなった丸いオレンジが、静かにポトンと落っこちた。

「あれ?ニッキ、次のやらないの?」

テルが声をかけてくれた。

「あ…ああ…うん…なんか…いいや…」

それだけ告げると、僕は「トイレ」と言ってその場を離れた。

他のクラスの奴らも、みんな楽しそうにしている。

男ヤマシタと、女子のヤマシタさんが一緒に花火をしている。

仲良く楽しそうにしているけれど、前の様に「まゆちゃん」「ハル君」とは呼び合っていない。

「ヤマシタさん」と「ヤマシタ君」なんて、幾らかの距離感がある。

それがなんだか、僕には切なかった。

ヨロヨロと戻って来ると、みんな楽しそうに笑っていた。

「あははははは〜!いや〜、笑った、笑った〜!だってさ〜、坂口さんってば、ニッキが走ってる最中、ずっとハシムニダ!ハシムニダ!って言ってんだもん!俺ら全員で、すんげえツボにハマっちゃって!笑い死ぬかと思ったよ〜!」

え?テル?今、なんて?

「あ〜!ニッキ!今さ〜、お前の話してたんだけどさ〜!」

聞くと、坂口さん、みんなが応援で「走れ!住田!」って言ってるのが、「走れ!住田!」「走れ!住田!」「はしすみだ!」「ハシムニダ!」って聞こえるから、思い切ってそう叫んでみたって。

1人だけ「ハシムニダ〜!」って。

え〜〜〜〜っ!何?それ〜〜〜!

そんなの全然、僕の応援でもなんでもないじゃんかよ〜!

確かに聞き覚えのある声だとは思っていたけれど、あれ、坂口さんだったんだ〜!

そう知ると、僕は堪えきれなくなって「ぷ〜っ!ぶふふふふふふふ!」と吹き出してしまった。

あ〜、おかしい!

バカだ〜!坂口さん。

そうしていると、大きい花火が始まった。

テルはいつの間にか秋田さんのことを「りなちゃん」と呼んでいる。

そう言えば、秋田さんに偶然会って、スポーツドリンクをもらったあの時、秋田さん、確かテルのこと、「吉野君」じゃなく「テル君」って言ってたっけ。

そっか。

2人は僕の知らない間に、ちょっとだけ距離が縮んでたんだね。

僕は…どうしよう…まだ、坂口さんって、呼んでいたい気もするけど…

そう言う間柄でも、いいって思ってるんだけど…

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたらとってもありがたいです。どうぞ宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ