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その91

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

「位置について、よ〜い!ドン!」と共に、高らかな笛のピーッが響き渡る!

一斉にスタートしたトップバッター。

ほぼ横一列状態から、コーナーでヒロキが飛び出す。

「行けー!ヒロキ!!」

「頑張れー!ヒロキ!」

「頑張って〜!雪国くん!」

「行けー!雪国〜!」

真ん中で待機している全員が、声の限り叫んだ!叫んだ!

内側のカーブが、ヒロキの足に負担をかける。

それでもめげずに走るヒロキ。

顔を歪ませ、頭から滝の様な汗をダラダラ流しながら、必死に先頭を守る。

半周回ったところで、次の走者にバトンタッチ。

ヒロキからバトンを受け取った保健委員の辻さんが、先頭をキープしたまま、走る走る。

ほんの数秒の走りでも、ヒロキの足にはかなりのダメージ。

2年の救護班の係と担任のヨーコ先生が、ヒロキに駆け寄り保健室へ連れて行こうとするも、ヒロキは「ここで、最後まで応援させて。」と動かない。

「わかったわ。じゃあ、ちょっとここで待ってて。」

そう言うなり、ヨーコ先生は救護班の係の生徒に、今すぐ走って救急箱を持って来るようお願いすると、ヒロキの傍に付き添って、2人で一緒に応援に加わった。

そうしている間に、次々とバトンが繋がれていく。

大丈夫!先頭はまだ僕ら1組だ。

今、バトンは秋田さんから、食いしん坊の八神へ。

八神は足が遅い。

けれども、八神は八神なりに一生懸命、リレーの練習に毎度参加し、最初の頃よりも随分と早く走れる様になっていた。

ただ、後ろから迫り来る、元陸上部の水島の猛追がえげつない。

「行けー!八神!」

「走れ!走れー!八神!」

「逃げ切れー!八神!」

クラスの応援が後押ししたらしく、八神は次の坂口さんまで先頭をキープしたままバトンを繋いだ!

坂口さんが走る!走る!

僕は応援しながら、坂口さんの姿をぼんやり見てしまった。

僕に手作りのお守りを、実は一生懸命作ってくれていた坂口さん。

テミジカミジカちゃんに、自分から似てるでしょ?なんて言っちゃう坂口さん。

「轟け!不屈の魂!大将軍」の黒王丸好きの、坂口さん。

あの土手で、いきなり僕の手を掴んで繋いだ、細い手の坂口さん。

ドラッグストアで、後ろからいきなりニヤニヤと声をかけてきた坂口さん。

僕の脳裏に様々な表情を見せる坂口さんと、今、現在、必死に走ってる坂口さんの姿がオーバーラップしていく。

「頑張れー!坂口さん!走れー!走れー!行けー!メグちゃーん!メグちゃん!行けー!」

えっ?えっ?何?えっ?あれ?嘘?なんで?なんで、今、僕、坂口さんのこと、メグちゃんなんて言っちゃったの?わかんない?わかんない?わかんない?わかんないよ〜!

目の中に映る坂口さんの顔が、一瞬笑った。

そうしているうちに、次の元サッカー部の後藤へバトンが渡された。

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。

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