その9
前回の続きです。
自分で着る服を買うって、こんなに大変で疲れるものなんだと、初めて知った。
今までお母さんについて行って買ってもらってた時とか、もっとなんつうか、「楽」だった気がした。
お母さんが適当に選んだやつを、ズボンなんかは試着室に入って試し履きをしたけど、そんなに何着も何着も着ては脱いで、脱いでは着てじゃなかったから。
割とスムーズに、スマートにパパパッと済んでた、と思う。
だから、ちょっとばかし緊張はしてたけど、頭のどこかでは「そんなに沢山買う訳じゃないから、ま、大丈夫でしょ!」なんてナメた感じで臨んでたかもしれない。
服を買い慣れてるテルが一緒だもん、鬼に金棒とまではいかなくても、お母さんと一緒ぐらいの安心はあった。
だけど、実際はそうじゃなかった。
テルに連れて行かれた洋服屋さんは、若者向けのおしゃれな商品ばかり。
だからなのか、値段も手頃な若者価格。
僕は正直「1万円で足りるんだろうか?」なんて、ものすごく心配しちゃってた。
お店に着く前、テルにあれこれ聞いてみると、「あ〜、全然大丈夫!大丈夫!なんなら全身コーデ出来ちゃうから。」とのこと。
僕は「靴」まで揃えられると聞いて、心から驚いてしまった。
それと同時に、自分がいかに世間知らずかを思い知らされ、恥ずかしいと感じた。
Tシャツは安いもので税込380円だった。
でも、そこはやっぱり値段通りだけあって、「着たい!」とか、「欲しい!」それじゃなかった。
僕はお店で実際に商品をあれやこれや見るうちに、自分がどういう系の服が欲しいか、わからなくなっていた。
だって、どれもこれもなんだかカッコよくて、おしゃれに見えたから。
「これだ!」
ビビビとくるものって、そうそうなかった。
それより何より、僕は自分のサイズがイマイチわかってなかった。
だもんで、「いいな。」と思って、思い切って試着してみたら、大きすぎたり、キツくてボタンが留められなかったり。
馬鹿だな、何やってんだよ!と自分で自分を責める一方、だって、生まれて初めてなんだもんと自分を甘く慰めたり。
そして、お母さんが一緒の時はわからなかったけれど、試着室に入って脱ぎ着するのって、ものすごく大変だったんだね。
狭いし、なんか知らないけど妙に空気がこもってて暑いし、前の人の変な香水の匂いが残ってて臭いし、薄いカーテン1枚越しのあちら側がものすごく近い様にも、ものすごく遠い様にも感じられた。
一緒に来ているテルを待たせちゃいけないと思うと焦ってしまって、普段ならスムーズにできる洋服の脱ぎ着が、慌ててかいてる大汗のせいで上手く出来なくて。
ほんの4〜5着を脱ぎ着しただけだってのに、僕はなんだか泣きたい気分だった。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
思いついた時にバババーッと書いているので(やることもいっぱいなので、書ける時に書いてる形です。)、不定期に投稿しています。
なんか、本当に申し訳ないです。




