その89
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
真っ直ぐ進む僕達を阻む、横からの紫。
4組の騎馬だ。
ある程度は想定していたことだけれど、突然感が強く、僕は少しだけ戸惑った。
「ニッキ!方向転換!方向転換!」
頭上からの指令に、「ラジャー!」と素早く対応。
僕が方向転換すると、右と左の2人もぐらつかぬ様、上の一橋を落とさぬ様、細心の注意を払って動く。
元バスケ部の一橋は、背も高いが、手足も長い。
その長い手のおかげで、相手よりも素早く鉢巻を掴み取った。
「やった!次!次!」
そうやって、土煙を上げながら、騎馬が動いて戦っている。
鉢巻を取られたら、自分達の陣地まで戻らなくてはならない。
5分間の間、僕らはこの戦場で戦い切りたいと思っていた。
1つの戦いが終わると、すぐさま違う戦いに移っていく。
1つの騎馬を、複数で攻めるのは反則。
必ず一対一の戦い。
僕はそんな「侍スピリッツ」っぽさが、すごくいいと感じている。
騎手の一橋の活躍のおかげで、紫2本、緑1本の鉢巻を取った。
大きな白い円で囲まれた「戦場」に、残る騎馬は少なくなってきていた。
金色の虎の2組の的場が、まだ残っている。
僕ら1組の残りの騎馬は、僕らの他、どれだけ残っているのかわからない。
騎手の一橋の指示で、金色の的場を狙いに動く。
その時、ふっと自分達の陣地を見ると、男気ヤマシタ塾の面々が。
えっ?嘘っ?まさか?
そう思った瞬間、敵が目前に迫っていた。
「ニッキ!何ボケっとしてんだよ!しっかりしろっ!」
「は、はい!ごめん!」
気を取り直して、的場達の騎馬と対決。
やっぱり甘い物好きな騎手の的場よりも、一橋の方が一枚上手だった。
シュッ!
的場の頭の後ろ側に手を伸ばした一橋は、一瞬の隙にサッとスマートに鉢巻を奪った。
そこでピーッと大きな笛の合図。
終了!
「そこまで〜!」
白い戦場に残っていたのは、僕ら1組が一番多かった。
よって、この種目でも僕らの優勝!
「やった〜!やった〜!わ〜い!わ〜い!」
クラスみんなで喜ぶも、僕の気持ちはイマイチだった。
勝ったのはとても嬉しいけれど、男気ヤマシタ塾が、僕らよりも早い段階で敗退しちゃってたことが、どうしても解せなかった。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




