その85
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
ヒロキが言っていたとおり、「焼き鳥居酒屋雪国」の屋台が出ている。
今日はおじさんと、お兄さんが張り切って仕込みをし、焼いているそうだ。
他にも綿あめに、たこ焼きの屋台。
それにイタリアンジェラートや、クレープ、ピザのキッチンカーなども来ている。
八紘さんところのパン屋さんと、港さんのお寿司屋さんも出張で屋台を出しているそうだ。
湿気の多い風に乗って、校庭まで色んな美味しい匂いがやってくる。
午前中、最後の競技の綱引き。
当然、みんな、腹が減っている。
誰かのお腹がぐ〜となると、つられて誰かも腹を鳴らす。
もしかしたら、一番力が出ないんじゃないだろうかというタイミングでの綱引き。
それでもどうしても優勝したい気持ちが、僕らを奮い立たせた。
綱の真ん中の赤い印に、「審判」のイケちゃんが足を乗せ、どちら側にも動かぬ様にしている。
「位置について!よ〜い!はじめ!」と共に、高らかと笛がピーッと鳴った。
それと同時に2年の旗係が、後ろ側にも見える位置で大きく旗を振り下ろした。
試合開始!
「もー!イエス!もー!イエス!」
投票で選ばれた掛け声で、掴んだ綱を引っ張る!引っ張る!
体全体を後ろ側に倒し、踏ん張っている足をじわじわと後ろに下げていく。
綱を持つ手から肩に圧がかかる。
背中から腰、そして、足のふくらはぎにかけて、筋肉が張っていく。
ただでさえ湿気が多く、ジメジメしている為、汗が余計に噴き出す。
鉢巻を締めている頭から、滝のような汗が顔中を伝って、Tシャツの首周りをビショビショにしていく。
僕らは必死に引っ張るも、漂う美味しい匂い達に負けそうになる。
ジリジリと後ろに下がって行く感覚。
きっと勝っている。
僕らは、へびを引っ張っている。
そう思った瞬間、イケちゃんの「やめ〜い!」と笛のピーッ!
試合終了。
はあ、はあ、はあ、はあ。
全員息をあげながら、先生の合図で、一旦その場にしゃがみ込み判定を待った。
「赤の1組の勝ち!」
やった〜!!勝った〜!勝った、勝った〜!わ〜!
喜んで飛び跳ねたりしている僕らとは対照的に、負けたへび達はどよ〜んと沈んでいた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




