その84
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
たった4組しかないけれど、綱引きはトーナメント方式。
なので、勝てば2回できる。
その2回目は優勝だ。
まずどういう風に対戦するか、各クラスの体育委員が代表として出た。
「グーとパーで合った人」のじゃんけん。
事前にちゃんと「出すのはグーとパーのどちらかね!」と、体育のイケちゃんこと、池田先生が説明したにも関わらず、「じゃんけん」と言うワードが、どうしても頭から離れられなかったらしい4組の内山は、続けて何度も「チョキ」を出しやがって。
他のみんなを苛立たせた。
ようやく対戦相手が決まった。
僕ら1組こと、「赤パンダ組」は、4組の「紫へび組」と当たった。
2組の「緑うさぎ組」は、3組の「金とら組」との対戦。
最初の試合は、僕らだった。
長く綺麗な一直線の縄に沿って、真ん中の赤い印からあちらに紫の鉢巻を締めた4組のやつら、こちら側は赤い鉢巻の僕らが背の順ではなく、あれこれ色々やった結果、一番強く力が発揮できる順に並んだ。
男子女子が入り混じって並ぶと、先頭の学級委員の柴田が、後ろにズラッと並ぶ僕らに向かって声を上げた。
「みんな!頑張るぞー!」
「オー!」
「絶対勝つぞー!」
「オー!」
こちらのクラスが雄叫びを上げると、あちらのクラスでもやっぱり雄叫びが上がった。
僕らは全員、あの練習を思い出す。
公式な綱がなかなか借りられないので、自分達で要らない衣服を集めて作った綱での練習。
引っ張る時の掛け声が、「オーエス!オーエス!」がいいのか、それとも「よいしょ!よいしょ!」の方が力がより一層出るのかなどなど、クラス全員が一丸となって話し合ったりもした。
違うクラスと練習試合ができない為、やむを得ずクラス半分づつに分かれて練習する日々。
偶数の班と奇数の班で分かれてみたり、数字の小さい方、大きい方で分かれてみたりなど、色々何度も試したけれど、やっぱり男ヤマシタがいる班に軍配が上がった。
それはそれでよかった。
クラスの中での戦いだったから。
だが、今日は本番。
今までしてきた練習とは大違い。
全く予想できない相手との対戦。
僕達は息を飲んで、綱を掴んだ。
練習のしすぎで、みんなの手にはマメができている。
男子は特に頑張りすぎで、マメが潰れて血が出たやつも大勢。
僕も右手のマメが潰れたけれど、家でがっちりテーピングをしてきたので万全だ。
ただ、少し心配なことがあった。
ヒロキの足だ。
まだ、完全じゃないにも関わらず、あいつ、元気いっぱい100メートル走や、障害物競争に出ていたけれど、その後、膝のテーピングを巻き直し、更にその上に膝用のサポーターをつけていた。
多分、相当痛いんじゃないか?
「ヒロキ、足、大丈夫か?無理なら、出なくても…。」
僕がそこまで言うと、ヒロキは豪快にワハハと笑い「全然、ぜ〜んぜん、平気!平気!」と返してきた。
ふと空を見上げると、黒に近いグレーの雲がだいぶ多くなっている。
そして、校庭の外から美味しそうな匂いが、漂ってきていた。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んでいただけたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




