その79
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
フォークダンスの練習時、女子のヤマシタさんは、だいぶ叱られていた。
僕やテル、ヒロキなんかが相手の時は、きちんと上手に踊るけれど、男ヤマシタの番になると、急に顔を赤らめて下を向きながらになってしまう。
手を繋ぐ場面でも、手が触れるか触れないかぐらいの微妙な位置で、「エア繋ぎ」になってしまっている。
男ヤマシタは普通に踊っているけれど、女子のヤマシタさんは動揺を隠せない。
「そこ!ヤマシタさん!どうして下を向いてるの?ちゃんとやって!先生達、さっきから何回も言ってるよねえ!ちゃんとやろう!ねっ!いい?ヤマシタさんがちゃんとやらないと、みんなに迷惑がかかるんです!ねっ?わかるでしょ?はい!じゃあ、最初っからもう一度!」
イケちゃんは多分、事情を知らない。
玉本さんは、何となくうっすら気づいたようだ。
けれども、クラス全員、「別れた」2人を知っている。
だから、男ヤマシタのところで、急にきちんとできなくなっちゃう、女子のヤマシタさんの気持ちが痛いほどわかる。
涙目のまま、踊るヤマシタさん。
踊りの中で一瞬だけ、男ヤマシタと顔が近くなった時、急に女子のヤマシタさんが落ち着いた表情で、気合を入れ直し冷静になった感じ。
手を繋ぐ場面ではしっかり繋ぎ、足元のステップもさっきとは見違えるほど。
みんな「どうしたんだろう?」と思っていたが、背の順で男ヤマシタの前にいるヒロキから、後で真相を聞いた。
どうやら男ヤマシタが、女子のヤマシタさんに何か言ったらしい。
「えっ?なんて?」
僕とテルが食いつくも、「さあ、そこまではちょっと。」とヒロキは顔を曇らせた。
何はともあれ、男ヤマシタが、女子のヤマシタさんの動揺を諌めた様だ。
どんな殺し文句かは知らないけれど、僕は改めて、「男ヤマシタ、かっけ〜!」と思った。
「校内陸上競技大会」まで、残り僅かとなってくると、どのクラスでも土日や早朝、放課後なんかを使って、全員参加とまではいかなくても、集まれるメンバーでリレーや、騎馬戦、綱引きの練習を始めた。
僕達のクラスも、同じく練習を開始した。
誰かがホームルームで提案し、僕達はクラス全員でお揃いの鉢巻と法被を作ることになった。
それはいいとして、生地で少し揉めたけれど、結局、僕らバレー部が着たあのユニフォームのデザインがいいねとなり、鉢巻は赤、法被は赤地に、襟を紺色にして、どちらにもパンダのアップリケをつける運びに。
縫うのは裁縫が上手な女子達と、お母さん方にお願いした。
僕は内心「え〜、またパンダ〜。」って思った。
けれども、的場のクラスのキラキラした金色に、虎がバーンよりもずっとマシと、後からわかった。
他のクラスと色などが被らない様、事前に3年だけの学級委員会で話し合いが行われたらしい。
緑色に可愛いうさぎの組と、紫色に何故かへびの組。
それに僕らのパンダと、的場の虎。
4クラス全部揃うと、壮観だった。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




