その78
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
「校内陸上競技大会」が近づくにつれ、クラス全員の団結力が強くなってきた。
「100メートル走」や「障害物競争」の様な「個人種目」はさておき、クラス全員でバトンを繋ぐ「全員リレー」や、「騎馬戦」に「綱引き」などの学級種目は、全部優勝したい。
「これで最後だから。」と言う気持ちが、みんなの心に火をつけた。
その手の「競争もの」の他に、毎年3年生恒例の「フォークダンス」も、違った意味でみんなドキドキ。
音楽に合わせて踊るそれは、グラウンドに大きな円を作って、外側を男子が、内側を女子がそれぞれ反対方向に進みながら、何度も繰り返す同じメロディーが終わったところで、次の相手に交代していく、お馴染みのもの。
僕達の親世代から続く、伝統だ。
数年前に一度、父母から「受験生だし、思春期なのだから、フォークダンスはどうなのか?」と言う、弱い反対意見もあったらしい。
それでも、未だに続いているところを見ると、「伝統」の力ってすごいなと思う。
体育の授業数が若干増えているこの時期、「競争もの」の練習よりも、どちらかと言えば「フォークダンス」の練習量が多い気がした。
クラスごとじゃなく、3年生全員でやる為、自分のいる場所によっては、違うクラスの人と踊るパターンも多々ある。
なので、違うクラスに好きな人がいる人は、曲の間に好きな相手と、手を取り合って一緒に踊れるチャンスがあるか、ないかで、盛り上がっている。
何せ、フォークダンスの練習は、それぞれのクラスごとで行われているけれど、本番ではそれぞれのクラスの「班」単位でごちゃ混ぜになって、大きな輪を作る。
当日、先生達の「くじ引き」によって、どう混ざるか決まる。
そんな博打感もまた、3年生全員にはワクワク、ドキドキなのだった。
体育の時間、クラスでのフォークダンス練習。
男子は女子と、女子は男子と手を取り合うのが、恥ずかしくて大いに照れちゃう。
けれども、体育教師の池田先生こと「イケちゃん」は、みんなが照れてきちんと振り付け通りにやってないことが、もどかしくて仕方がない模様。
「ちょっと!ちょっと!みんな〜!ちゃんとやって!ちゃんと!そうやって恥ずかしがって背中丸めてやってると、全然美しくないから!ちゃんと!もう一回、先生の振り付け見て!」
そう言うなり、助手で体育大学の学生の玉本さんを相手に、「ほら!こう!こう!みんな!よく見て!ここはこう!手はちゃんと伸ばす!足元のステップも、こう!先生、もう一回やるよ!こう!ねっ!玉本さん側の人も!あ、じゃ、ちょっと玉本さん、やって!そう!こんな感じ!そうそう!ねっ!いい?みんなさ、ちゃんと真剣にやって!全員がきちんと、先生達が教えた通り照れずにやれば、本番で美しく決まるんです!見に来てくださる父兄の方々にも、みっともないダンスは見せたくないでしょ?下級生達にもいいとこ、見せたいでしょ?だったら、ちゃんとやる!いいですか?じゃあ、もう一回、最初から!」
イケちゃんの指導は熱を帯びていた。
助手の玉本さんも、若干お疲れの様子。
自分も大学の授業などで忙しいにも関わらず、このところ「フォークダンス」の練習の指導の為、午後からの体育の授業には必ず来てくれている。
3年生は4クラスあるので、その全ての「フォークダンス」の練習時にわざわざと言う形。
本当に頭が下がる。
女性側の「イケちゃん」と、男性側の玉本さん。
まあ、2人とも女性なんだけど、役割分担で、そうなっている。
2人のダンスはキレッキレだ。
たかがフォークダンス、されどフォークダンスって感じ。
時折、名指しで指導されながらも、僕達は結構必死にダンスを覚えた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




