その72
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
あれから僕は、モヤモヤが溜まって溜まってどうしようもない。
その原因は、自分のことじゃないんだけど。
僕自身は全く蚊帳の外の話にも関わらず、「ダブルヤマシタ問題」がしつこくくどく、僕をモヤつかせる。
机に向かっても勉強が手につかず、ハッと我に返った様に気づくまで、手が止まったまま。頭の中で「ダブルヤマシタ」のことばかり考えてしまっている。
これじゃダメだ!ダメだ!
いつまで人のこと気にしてんだ!
そう思い、僕はゴロゴロローラーをやり始めた。
ゴロゴロゴロ〜と前に進み、ゴロゴロゴロ〜っと戻って来る。
これまでは必死に、「なんだ、くそっ!後1回!」なんて気持ちでやっていた。
今は「ダブルヤマシタ」はこのままでいいのか?って、ぼんやり考えながら。
けれども、頭のどっか違う冷静な部分では、しっかりカウントしていた僕。
気づくと最初の目標だった30回…には及ばないけれど、28回も出来てた。
「あれっ?嘘っ?まだ、13回ぐらいしかできてなかったのに…なんで?」
ちょっと嬉しい気持ちでテンションが上がるも、再び「ダブルヤマシタ問題」の沼へハマってしまう。
「あ〜、モヤモヤするな〜!ちくしょー!」
まだ何か体を動かしたくて、次は腹筋を50回。
それが終わっても、何となく気持ちが晴れない。
「そだ…走ろう…走ってくっかな…うん、そうしよう!」
思いたったが吉日。
僕は先日授業で縫ったばかりの青い半ズボンに、お父さんからもらったあの「ゴルフ大会」のTシャツのまま、部屋を出た。
外は濃いピンク色と、紺色がグラデーションになってきている。
夕食の支度をしている母に、一応声をかけた。
「お母さん!ちょっと走ってくる!晩御飯までには戻るから〜!」
そう告げると、すかさず母から財布とエコバッグを手渡され、「じゃあ、ついでに牛乳2本と、いつも食べてるあの白い食パン8枚切りのやつね、それ2袋でしょ、それと、めんつゆでしょ、1リットルのやつね、昆布だしの、そうそう、トイレットペーパーもお願い。トイレットペーパーもいつものシングルのやつね。」だって。
え〜!それは、ただのおつかい。
折角モヤモヤを打ち消す為に、外をぐるっと走ってこようって時に、がっつりしたおつかい頼んじゃう母。
お母さんって、いっつもこうだ。
こちらがどういう気持ちで走る気になったかなんて、全然興味なし。
自分の用事を最優先なんだもんなあ。
まあ、でも、しゃあない。
買って来るものは、自分も使うものだから。
これがお母さんの化粧品とかだったら、「自分で買って来なよ!」って強く言えるんだけど。
「覚えられないから、メモにして!」と告げ、メモを受け取る。
玄関でスニーカーを履きながら、ぶつぶつ文句が漏れる。
僕の中に新しいモヤモヤが加わると、走る意欲がさらに増した。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んでいただけたら幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。




