その69
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
帰り道、テルと秋田さんは、2人でまだまだ「アンニョン11」の曲を歌っている。
今日は、新曲「スイートハート、スイートキス」の練習。
僕と坂口さんは毎度お馴染み、2人の後ろをノロノロ。
テルと話してから、僕は今までの様に坂口さんの顔をまともに見れてない。
自分でもなんでだろう?って思う。
思うけど、何故か目を合わせられない。
けれども、坂口さんはそんなの全然お構いなしで、普通のテンションのまま。
変に意識して、体が硬くなっちゃってるのは僕だけだった。
前の2人が急に「ごめん!」と言って来た。
理由は「コンビニに寄るから」
「なら、僕らも行くよ!」って言いかけたけれど、2人は笑いながらとっとと行ってしまった。
「あ〜、なんかね〜…。」と坂口さん。
聞くところによると、今日からいつものコンビニで、アンニョン11の限定くじのキャンペーンが始まるそうだ。
「あ〜、それで…。」
それはわかったけれど、急に坂口さんと2人っきりになってしまった。
いつもなら前に必ずテルと秋田さんがいる。
だから、完全な2人きりじゃない。
でも、今は…。
「あ〜、住田君、今日さ〜、こっちの河川敷の方から帰ろう!」
坂口さんの急な提案に、僕はコクンと頷くしかできなかった。
特に何か話す訳でもなく。
僕は密かに心配していた。
坂口さんと2人きりで歩いてるところを、誰かに見られたらどうしよう。
絶対誰かに揶揄われるに決まっている。
そう思っているのは、僕だけかもしれなかった。
坂口さんはマイペースで、どんどん前を歩いていく。
「あ!」
急に坂口さんが立ち止まった。
「ん?何?」と僕。
少し離れた土手の階段に、女子のヤマシタさんが座っている。
遠目だけど、泣いてる?
「行こう!」
そう言うと、坂口さんがいきなり僕の手を引っ張った。
あ…手…繋いじゃった。
坂口さんの細い手は、ひんやりとしていた。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。
お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




